秘密ゴト
私、新井玲菜。
来年高校受験を迎えます。
成績普通、ルックスも普通。
そんな私には秘密があるのです。
大親友の雪乃にも言えないちょっとした秘密が―――。
「あーあ。もうすぐ夏休み終わっちゃうんだねぇ」
そうとなりで呟くのは私の幼馴染で大親友の雪乃。
「そだね・・・」
「夏休みが終わったら本格的に受験勉強しなきゃなー」
そう言うけど雪乃はかなりの優等生で児童会の副会長をやってる。それだけじゃない。
勉強が出来るから余裕でこのあたりじゃかなり有名な西中北高校にも入れるレベル。
この前なんか町の中学生を対象とした海外派遣授業にも選ばれカナダに行った。
「うん・・・」
「玲菜さ、どこ受けたいって言ったっけ?」
「私は崎川農林受けたいなーって」
「農林ねー。農業ライフでも楽しむの?」
「うん、将来はそういう仕事につきたいの」
「夢があっていいなー」
「そんなことないけど・・・雪乃はやっぱりあそこ?」
「うん。西中北受けるつもり」
「そっか」
「あ。じゃあうちこっちだから・・・じゃあまたね!」
「うん、じゃあ」
そう返して雪乃に手を振って別れた。
さっき雪乃に話したとおり私は農林高校に行くつもりでいる。
一時は他県に行って寮生になることも考えた。
でも県内にある農林高校に行きたかったから結局諦めた。
高校卒業したら専門学校に行って畜産について学ぼうと思っている。
私は雪乃に比べたら勉強なんて出来ない。
だから私は偏差値それほど高くなく、自分のやりたいことが出来る
農林高校に進学できればそれで十分。
「ただいまー」
「お帰り、お昼ご飯作るからちょっと手伝って」
台所のほうからお母さんの声がした。
「分かったー」
私は一度二階にある自分の部屋に行きちょっとラフな格好に着替え
再び下の部屋へ。
あ、ちなみに私の家は下がおじいちゃんおばあちゃんの家。
そして上が私、お父さんお母さんに妹が住む家なのだ。
「今日は何作るの?」
「暑いし・・・冷麦かしら」
「(またかぁ)了解」
家の夏は毎年週に数回は冷麦と決まっている。
食欲ないからいいんだけどね。
最近食欲がない・・・
というのも部活を引退してまったく動かないから
っていうのもあるけどちょっと違うと思う。
ずるずると冷麦をすすりながらぼーっと考えていると
お母さんが口を開いた。
「玲菜、今日塾よ、えっと・・・Bに数学、Cに自習室ね」
「あ、うん分かってるよ」
「先にお風呂はいる?まだ早いかしら」
「もう少ししたら入る」
「そうね」
「・・・ごちそうさま」
「もういいの?」
「うん、食欲ないから」
食器を片付けて足早に階段を上がる。
「塾」そう考えただけで顔が自然とにやけてしまう。
今日は月曜日、私にとって月曜日は唯一の楽しみ。
「う~ん。今日は何着てこうかなぁ・・・」
今、私の周りは服、服、服だらけ。
着ていく服に迷っている最中なんです。
それにしても塾に行くだけでこんなに服に迷うのって私だけかな?
「よし!これに決定ッ!」
30分悩んだ果てにようやく服を決めることが出来た。
これもいつものこと。
お母さんがちょっと前に
「玲菜、どうしたの?塾行くのに服にそんな迷ってるの?」
なーんて言われた日には私の『秘密』がバレたかもって思ったけど
その心配はなかった。
「まあそういうお年頃なのね」
といってお母さんは済ませたから安心した。
「じゃあお風呂行きますか・・・」
服を胸に抱えてお風呂場へ向かった。
ありがちな禁断の恋物語ですがどなたか読んで下さったら光栄です^^