#3
キリスト教の聖書を元にしていますが自分で勝手に人物構成を行っています。笑)
ルシファーが扉を開けてようやく見えた人物はベリアルだった。
「気を張るな、ベリアル。ミカエルと間違える…。」
ルシファーは肩を落とすとベリアルを中に招き入れた。
「ルシファー様…すぐ其処まで追っ手が来ております…。」
扉を閉めると真剣な眼差しでベリアルはそう告げる。告げながら視界に入る智那へ細めで見つめたがすぐ、反らしルシファーを見た。
ベリアルはミディアムの金髪でルシファーとは違った赤い目をしており眼鏡がよく似合う長身だった。そんな2人の交互に交わす会話を耳にしながら
智那は脳裏で急に誰かの声が響く。自分の名を呼ぶのだ。
「っ…。誰っ…!?」
チナ…。チナ…。 俺の名前を呼ぶ声はぼけていたけれど次第に大きく
はっきりと聞えるようになって、仕舞には肉声と化す。―あっ!!と思った時には素手に遅かった。
「ルシファー様っ!!」
「―!!しまったっ」
「チナ・・・我等の愛しい子…」
頬を切るような風が部屋中に広がったと思えば智那の背後には美しい銀髪を持つ女性が立派な羽を広げ居座っていた。
「何…!?」
急に現われた姿に驚きを隠せないと言った様子。思わず後退りをした。
「恐れないで、さぁ私と共に行くのです。」
「ガブリエル…か…」
「ガブリエル!?キリスト教の!?」
ばつの悪そうに小さくルシファーは彼女の姿を見て舌打をした。反して智那は驚き彼女を見上げる。
「ルシファー、いたのですか。先ほどはミカエルが世話になったそうですね。」
目を細め微笑むと片手を開きルシファーへ差し向ける
「明けの明星と謡われた者がここまで落ちていたとは」
そう呟いて。
「生憎、神には仕えたくなかったご身分でな。落ちる所まで落ちたぜ」
ルシファーの言葉を聞くと智那の後ろに立っていたガブリエルは浮かびあがり細めていた目をカッと見開く。
「神は我が力なり。哀れな子よそのまま落ち続けなさい。」
ふいに片手から物凄い覇道が部屋中に伝わる。ルシファーもベリアルもその覇道に耐えるように足に力を入れた。
「さぁ、行きましょう。」
「…っえ?」
覇道が続く中飛ばされそうになる智那を両手で持ち上げる。
「ガブリエル!!待て、そいつは俺等のもんだ!!」
ルシファーは声を張り上げるがガブリエルは短く笑うだけで見向きもしなかった。
ツヅク