#2
頭がぐるぐるする。ココはドコ?僕は・・・一体、どうなった・・・?
智那はゆっくり瞳を開ける。視界には一人の男が目に入った。
Necessary:
おい。
口を開ける、声が出ない。どうして?
智那はもう一度腹の其処から声を出そうとした、目の前にいる人物へと。
「っ・・・!!」
知らない人の腕の中で智那はふいに目眩がした。
よく見れば自分は血に塗られている。手を見ると鮮血な色に染められていた。
ごくり。と喉を鳴らせばもう一度目眩がして
「ん、目が覚めた?」
ルシファーは智那が目を覚ましていた事にようやく気付いた。
その言葉にミカエルが反応し、ルシファーへと剥き出していた手を智那へと伸ばし触れんとするがすぐにその手は遮られた。
「触れるな。」
ルシファーは目を細めそう一言放つと智那へと視線を注ぐ。紅の瞳は魅了せずにはいられない、智那はすぅと吸い込まれそうになった。
***
「・・・交通・・・事故?」
疑うばかりに目を見開き俺の前で泣き崩れる奴を見る。
「う、う“ん・・・っく。っ・・・ぼ、僕と別れた後ト、トラックに・・・っく!!」
しゃくりを上げる悠太に英は思わず服の襟元を掴み上げた。椙山 英は、智那の良き仲間として一番の親友とも言える大の仲良しだった。
「ふざけるな・・・。」
悠太は苦しそうに英の手を取る。英は怒りで顔が歪み物凄い形相で雄太を睨みつけた。
彼は悪くないけれど彼を責めずにはいられない自分がいて
「く、苦しいよ・・・英君・・・っ!」
眉間に皺を寄せる悠太が今やっと視界に入ると英は慌ててその手を離した。
「ご、御免・・・。」
恐る恐る悠太から離れるとペタンと膝をつく、英は微かに下で弟達の笑い声が耳に入った。
「・・・英君・・・」
落ち着いた悠太はゆっくりと英の肩に手を置く。
「病院・・・行こうよ・・・?」
***
頭の中で誰かの話し声。ぼんやりとしか聞き取れない。
ん?話し声? ふいに智那は二度目の目覚めを。目を開けると其処には1度目と同様
紅の瞳を持つ男が俺の目の前にいた。
「ここは・・・?」
「地獄。」
「そう・・・地獄・・・。ってえ!?」
その言葉に驚き跳ねあがる様に体を起こした。よく見れば智那が眠っていたのは見た事も無い真っ白い部屋に一つだけ存在するベッドの上で。
ルシファーは驚く智那を見て可笑しそうにケラケラ笑った。
「っつっても今にミカエルが追いかけてくるだろうがな。」
「ミカエル・・・?」
聞いた事ある名だけれどしっくりとした実感が今だわかない。智那は首を傾げ、ルシファーを見た。
「あんたは誰?俺は・・・事故にあって死んだ?さっきの病室は・・・?一体何がどうなってる?」
ルシファーは一呼吸置くとゆっくりと事を話し始めた
「・・・俺は地獄の君主ルシファー。お前はまだ死んじゃいねぇよ、ミカエルが煩かったもんでな、お前は自分の血で気絶するし地獄手前のココに連れてきた。」
「じゃあ、俺はまだ・・・死んでない・・・?」
色々な疑問が頭を巡るけれど今はそれだけが知りたい事実。
ホッとして自分の胸を撫で下ろし、安堵の息をはく。良かった生きていたんだと。ふと、そぅ思った瞬間扉の奥からノックの音が小さく室内に響いた。
「だッ・・・――」
「俺が出る。」
妙な空間が漂ったのはルシファーの怪しい目つきのためであった。智那は言い掛けた言葉を無くし
越しかけていたベッドから立ちあがるルシファーを見上げた。その時の扉を見るルシファーは先を見通すような視線で。
智那は嫌な予感がした。
ツヅク