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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

断章:その背中は星だった

作者: Hanna
掲載日:2026/05/31

 地球(ここ)ではないどこか、魔法と科学が両立する世界。


 俺は、ライリー。ヒーローとして仲間と共に魔族と戦っている。俺には、憧れ続ける存在がいた。


 ──女傑ステラ


 彼女は、俺の師匠でヒーローとしての知恵と技を与えた人だ。優しいけど強い、でも怒ると結構怖い。

 でも、厳しい訓練がなかったら、今の俺はいない。それに、今は“友達”がある事情で離れ離れ……。いつか、取り戻してみせる。



 そんなある日、魔族の発生の根源が発見され、それを破壊する任務を遂行していた。けど、俺たちは謎の結界に阻まれた。


「ダメ……何度も叩いても、ビクともしない」


 と、俺の仲間はそう言う。その通り、結界にヒビすら入れられない状況だ。


「何か方法はあるはず……」


 俺は冷静に考えたが、焦りが消えず方法が浮かんでこない。すると、俺の肩にそっと手を置いた人がいた。


「師匠!」


「貴方たちのために、活路を開く。この結界が破壊されるまで、ここにいなさい」


「で、でも……」


 俺は、師匠の言葉に何かを戸惑った。こんな感じに、時折重要な判断ができなくて師匠に叱られることが多い。


「いいね?」


「……っ! は、はい」


 俺は、師匠の言う通りに待つことを選択した。師匠は、勢いよくその場から駆け出す。

 すると、それを阻むかのように、師匠に向かって敵が接近する。どうやら、結界を守っている人型の使い魔のようだ。


「フン! たぁッ! ちぇいや!」


 師匠は躊躇うことなく、次々と使い魔を刀で斬り伏せていく。それは、水のように流れ、炎のように強く、星のように輝いていた。

 どんな攻撃が振りかかろうとも、恐れることなく進む姿は、俺にとってヒーローとしての理想だ。


「ハァァァァァァァァァァッ!」


 師匠は最後の使い魔を叩き斬ると、斧を手にして結界へ一撃を入れる。ただ、魔力を全開にしているのを俺は見ていた。そこまでしたら、身体が保たないと。


「師匠ッ!」


 俺は、叫んだ。彼女に届いたのかはわからない。でも、結界に小さくヒビが入り、それが徐々に広がっていく。


「こんのヤローがァァァッ!」


 師匠は、ヒビが大きく入ったところで高く飛んで急降下した。斧を大きく振り下ろすと、見事に結界を打ち砕いた。


「師匠ッ!」


 俺は、仲間と共に師匠の着地した場所へ向かう。師匠は息を整えていたが、その身体は透けていた。でも、その背中は頼もしく、俺の憧れるヒーローのように輝いていた。


「し、師匠ッ?!」


「大丈夫。これで、私の役目は終えた。でも、忘れないで……いつかまた会える」


 師匠は、安堵したように言った。それでも、俺は師匠と一緒に冒険したいし、強くなるための特訓がしたい。


「でも、俺はまだ……」


「行きなさい、ヒーロー! 貴方ならできる」


 師匠は、そう言った。その時、彼女の──女傑ステラの兜が消えて素顔を見せた。優しい笑顔で、瞳に希望を抱いていた。


「──◯◯◯!」


 俺は、彼女の本名を叫んだ。聞こえた彼女は、とても嬉しそうな笑顔を俺に向けて消えてしまった。



 その光景は、二十代になった今も覚えている。俺の師匠──女傑ステラこと◯◯◯は俺の一番星だ。

 彼女のように、俺も誰かの星になれたらと思う。

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