第3章
職場に戻ると、すぐ帰宅するようにとの指示だった。充電式のポータブルテレビからは、リアルタイムでテレビ局のヘリコプターから撮影された映像が映し出されていた。同僚と黙ったまま、ポータブルテレビを囲んだ。
それはちょうど仙台市近郊の太平洋沿岸沿いの閖上地区が、大津波に呑まれる瞬間だった。
点在する人家が次々と呑まれ、人が走っていた。まるでスローモーションのようだった。田んぼや畑も呑まれ、道路に立ち往生した自動車も呑まれた。
映画だと思った。セットした模型に見えた。
しかし違った。映画ではない。現実だった。
黒い怪物が大きな口をあけていた。人が人家が車が大津波に呑まれる。地上のあらゆるものが呑まれた。
遠い未来……
キリストの再臨とともに「最後の審判」が行われ、すべての人々に天国か地獄かの裁定が下される。
しかし今起きている惨状は、「最後の審判」により、地球を我がもの顔で独占した身勝手な人間への神からの罰ではないのか?
すべての人間は神の怒りに触れた。
人類が滅びる光景……
信仰のないオレでも、ふとそんなことを感じた。
職場から外に出ると、やはり暗灰色の曇り空から小雪がちらついていた。
あたたかな太陽は、閉ざされたままだった。
ふたたびカングーを停めてある「大仙台駐車場」まで晩翠通りを南へ歩いた。
定禅寺通りの欅並木は、暗灰色の空の下無言だった。いつものように彼らの声を聴こうとした。
すごい揺れだった。
巨大な津波に人々が呑まれている。
真っ暗な冷たい水に堕ちて行く。
これはどういうことなのか?
いったい何が起こったか?




