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攻防

「駄目だ。許可などできる訳がない。」


「お父様!お願いします。何卒、私の願いを叶えては下さいませんか。」


玉座の間で幾度となく繰り返される遣り取り。

フィーレリアの願いは、当然そう簡単には聞き入れられなかった。


「フィーレリア。何を馬鹿なことを言っている。魔導士になり魔物を討伐するだと?魔導士など一人もいないこの国で、どうやってお前が魔導士になどなり得るのか。

ましてや、かわいい娘を魔物討伐に向かわせるなど。決してあり得ぬ!」


「お父様!!」


どれだけの時間が過ぎようと、話は平行線のまま終わりは見えない。




そんな中、フィーレリアの援護者になったのは、今まで沈黙を貫いていた兄のカイルであった。


「父上。こうしてはいかがでしょう。

これから1年間、フィーレリアがどの程度の魔法を使えるのか、果たしてその魔法は魔物を討伐できる威力があるのか、父上を始め私、騎士団員、官僚などできるだけ多くの人物で見極めるのです。

一人でも否を突きつければこの話はなかったことに。


…私は、フィーレリアがなんの根拠もなくこのような懇願をしているとは到底思えません。

フィーレリアも責任ある王族の一員。そして魔物討伐はこの国における最重要問題。

我々はどんな可能性にでも縋り、国民を導く義務があるのではないでしょうか。」


それはフィーレリアの兄らしい、そしてこの国の王太子にふさわしい口上であった。


「う、ううむ…」

それでも王であるイーヴァンは是と認めない。



結局、最後の一押しとなったのは、王妃であるマリーからの涙ながらの訴えだった。


「陛下…ここはカイルの言う通りにいたしましょう…

私達はフィーレリアの親である前に、この国の統治者でございます。

そして、我ら王族は民のために存在するものでございます。どうか、どうか……」

ぽろぽろと美しい王妃の瞳から涙が溢れる。


誰も、かわいいフィーレリアを危険な場所へなど行かせたくはない。だが、現状、為す術がないのだ。



苦渋の決断であった。

ついにイーヴァンが折れた。


「…わかった。カイルの言う通りに進めよ。」


「お父様!」


「ただし!十二分にお前の魔法の威力とやらを確認できるまでは討伐になど決して行かせぬ。わかったな?」


「はい。必ずやご期待に応えてみせますわ。」



フィーレリアはやっと解決の糸口が見えたことに安堵し、その道を作ってくれたカイルに向けて、感謝の礼をとる。



カイルは何とも言えない表情をしていた。

フィーレリアを支えたいという気持ちと、幼い妹に頼るしかないという己の不甲斐なさとで、今にも押し潰されそうな状態であったからだ。



(お父様、お母様、そしてお兄様。ありがとうございます。私きっと、役目を果たしてみせます。)


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