フィーレリア=エスト 8歳
フィーレリアはまず、1年かけて魔導書を読み漁った。
何せ、エスト王国には魔導士がいないため、 誰かに師事をして教えを請う、ということができないのだ。
自分で考え、自分で試行錯誤していくしかない。
読んで、イメージする。ただそれだけをひたすらに繰り返す。少しずつ、でも着実に、知識だけはフィーレリアの中に積み重なっていく。
ただ、実際に魔法を発現させるには、広大な場所が必要だ。
フィーレリアが目指しているのは、攻撃力の高い古の魔法。ただの生活魔法とは規格が違う。
それゆえ迂闊に城内で試すわけにはいかない。
万が一暴発でもしたら大変なことになる。
---城外に、出ないと。
だが、曲がりなりにも王女である自分が、気軽に一人で外出などできるはずもないことはフィーレリアにもよくわかっている。
よし。頃合いだ。
(お父様にお会いしよう)
どうせ、いつかは魔物討伐同行の嘆願をしなければならない。それなら早い内から自分の思いを伝えておくのが最善と言えよう。
…もちろん、説得はきっと簡単ではないはずだ。
日々、過ぎるくらいの愛情を家族から感じている。それはきっと、フィーレリアの思い違いではない。
魔物討伐がどれだけ危険かだなんて、国王であるお父様の方が何倍も何十倍も理解している。
簡単に、了承されるわけがない。
でも、それでも。決して諦める訳にはいかない。
魔物出現の報告は近年減るどころか増加し続ける一方なのだ。
このままでは、この国に明るい未来なんて、ない。
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