フィーレリア=エスト 6歳(2)
エスト王国。
自然豊かな国で、資源も豊富。
空気も水も特別に澄んでいる、と他国からも評判の国である。
国民性は、極めて温厚。
争いを好まず、歴代の王家も実直に堅実に、良く国を治め、国民もそんな王家を信頼していた。
第二王女として生まれたフィーレリアも、民に誇れる王族となるべく、幼き頃より課せられた教育に励んていた。
そして迎えた6歳のあの日。
あの日以降フィーレリアは、この国の為に自分には何ができるのか、これまで以上に考えるようになった。
幸いにも、フィーレリアには才能と若さがあった。
(これからもっともっと勉強すれば、私は何にでもなれるはずだわ。)
フィーレリアは使命感に燃え、やる気に満ち溢れていた。
---まるで、何かに取り憑かれたように。
まだ10歳にも満たない王女が、何のわがままも何の泣き言も言わず、ただひたすらに勉学に打ち込む姿は、些か異常でもあった。
しかし、この国の中にはそんな様子のフィーレリアを好ましく思う者こそいたものの、ましてや咎める者など一人もおらず、
国民からは
「なんて勉強熱心な王女様だ」
「さすがエストの王族だ」
という声が上がり、
王族からは
「なんて自慢の王女だ」
「将来は国を背負う女傑になるやもしれん」
という声が上がっていた。
誰もが幼いフィーレリアに期待していた。
「もっと頑張れ」
「もっとできる」
皆声には出さないが、心の中ではそんな風に思っていたのだろう。
たとえ小さな少女が深夜まで書庫に籠もり魔導書を読み漁っていようとも。毎日、手の皮がすり剥けるほど一心に木刀を振り続けようとも。
誰も、フィーレリアを止めなかった。
---唯一人、アレクシス=グランデ以外は。
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