第二王女と守護騎士
はじめまして。
後々に恋愛要素が増えてきます!
どうぞよろしくお願いいたします。
「ピュリファイ!」
広大な森の中。
凛とした堂々たる声が響き渡ると、まばゆい光が瞬く間に辺り一帯を包む。
そして、暗鬱とした瘴気と、数十体のアンデッドモンスター全てが消え失せた。
「やった!」
「討伐成功だ!」
わ〜っ!!という騎士の歓声が森中に響き渡る。
「ふぅ」
そんな中、安堵の混じったため息を一つこぼしたのは、この国トルニア王国の第二王女であるフィーレリア=エスト。歳は16歳。
さらさらとした白銀の髪、キラキラと輝くアメジストのような瞳。
知的な顔立ちをしており、この国の一般的な16歳の女性と比べると、どこか大人びた雰囲気がある。
フィーレリアはきょろきょろと周囲を見回してみる。
(良かった。重傷者はいないみたい。)
フィーレリアの目線の先では、敵との激闘を繰り広げた50名ほどの騎士たちが互いの健闘を称え合っており、なかなかに元気そうな様子だ。
「姫様」
呼ばれ振り向くと、そこに立っていたのは全身黒づくめの美丈夫。
黒い髪、黒い瞳、黒い鎧、黒い鞘、そして黒い剣。
(何もそんなに全身黒くしなくてもいいのにねぇ)
いつ見ても真っ黒なこの男は、アレクシス=グランデ。フィーレリアの守護騎士だ。
アレクシスはこの国の二大公爵家が一つ、グランデ公爵家の次男で、御年19歳。
艶のある短い髪は常にセットされ、形の良い額があらわになっている。
凛々しい眉、切れ長の目元、鍛え上げられた体に182センチの高身長。
俗に言うイケメンだ。
騎士団には、国中の貴族令嬢からこの男あてに恋文が届いているという。
(それはそうよね。超優良夫候補だもの。)
公爵家次男という立場もさることながら、加えてこの容姿。さらには第二王女の守護騎士並びに王国騎士団の団長という肩書まである。
一体どんな令嬢がこの男の心を掴むのだろうか。
(ふふふ。楽しみだわ。)
いつも寡黙で仏頂面のアレクシスが、運命の女性の前だけでは相好を崩すところ。
想像するだけでもニヤけてしまう。
「姫様?おケガはありませんか?」
「えっと、大丈夫よ。アレク、あなたは?」
あぶないあぶない。一人でニヤニヤしてたわ。
すぐに顔を整えて、私はアレクシスからの質問に答える。もちろん、聞き返すことも忘れない。
「姫様が私を気にされる必要はありません。」
バッサリ。
…ハァ。
「あなた、本当に会話が続かないわね…」
会話のキャッチボールは、人として大事なことだと思うのだけれど。いつもこの調子だ。
こんなアレクシスとのやり取りに、私は今日も苦笑いを浮かべてしまう。
「普通、主君にそんな口を聞くかしらねぇ?」
軽く、睨んでみる。それでもやっぱり仏頂面アレクシスの表情は変わらない。
おかしいくらい不器用な人。
いつもこんな感じ。滅多に笑ったりしない。
でも私は、こんな不器用なアレクシスが嫌いじゃないのだ。
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