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農村

狙撃手の襲撃から2日。ようやく人里に近づいた。

酒場や賭場などは見当たらず、広い穀倉地帯に時折家々が連なる。見たところ農村みたいだ。


リドラ大陸において主食となるパンを作るのに欠かせない小麦だ。その他穀物や畑も見られるが、ほとんどがそれだ。


農村は旅人にとっては運試しのようなものだ。

土地の代表が好意的な場合は農業の手伝いや警備で受け入れて貰える。

排他的な場合は村総出で撲殺される事もある。

食糧は資源だ。村を命懸けで守る為に過激な手段を取られてもおかしくない。


害獣避けの柵が広がる場所にポツンと穴がある。

まだ井戸は見えないが代わりに農夫が立っている。

既にこちらに気付いて鋤を持っている。


「おい旅人、何のようだ?」


「シール領ノイツ村のケン•シャイダーと申します。一宿一飯の義、願います」


既にガンベルトは外して作法通りに進める。

門番的役割の農夫に仁義を通す。


「シール領‥?そうかい、そうかい!ここで待ってな!まだ入るんじゃ無いぞ!」


暫くして農夫が3人組を連れてきた。

若く綺麗な女•日焼けした男•シワの目立つ老人‥


そのうち老人が話し始めた。

「ワシは村長のカデナじゃ。旅人を許可する」


「ありがとうございます‥」


「娘のエリーと婿のゲインじゃ‥」


「お初にお目にかかります。ケン•シャイダーと申します」


「ゲインだ‥ノイツ村から?」


「はい。北の港町から流れて参りました」


「はっはっはっ!実は俺もそこから来たんだ!お前さんがガキの頃にウロウロ旅してた。風邪で倒れてるのをエリーに救われたんだ。まぁ来なよ!」


何とこの男は同郷だった。

歩きながら色々と教えて貰った。


“タデ村”

村人はおよそ90人。村にしては規模が大きく人手もある。小麦の栽培で割と裕福な為余裕があるらしい。

農夫の一部は武装して自警団を組織しているので治安もそれなりだ。

悩みの種は害獣だ。人相手なら銃弾を当てられるが、穀倉地帯に侵入する猪の群れは厄介だ。


素早い上に牙がある為怪我人が出る。

収穫期や祭日に何人もやられると、人手が減ってしまう。安定した収穫には今の人数を維持しなければならない。


「ケン殿。しばらく泊まって猪狩りを頼めないかい?1人ぐらいなら人も出せるが?」


「承ります‥人手代わりに弾薬を所望します」


「分かった。必要な物は紙に書いておくれ」


「ありがとうございます‥」


今晩は野宿しないで済む。

村長宅に招かれて食事を頂いた。


「ウチじゃヤクザ者の仁義は要らんからね」


「かたじけない‥」


旅人が食卓を囲んで食べるのは珍しい。

会話も許されているが、食事の作法はいつも通り行う。


「何だか昔の旦那を見てるみたいだわ‥」

エリーが呟く。


なるほどな。たしかにゲインは元旅人だ。

所作に覚えがあるのだろう。

肝心のゲインは楽しそうに食事している。

俺も幼い頃はきっと‥思い出せない‥


皿に汚れを残さずに片付けた。

「ご馳走様です」


「部屋は奥のを使ってくれ」


久しぶりのベッドだ。銃や持ち物の整備は忘れない。

カデナ村長に必要物の書類を渡して眠りにつく。





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