自動拳銃
ボン!ボンボン!
シュバ!シュバ!
ボン!ボン!ボン!
ダーラスの求人を見て新型銃の立会に参加している。
街工房の銃器は品質面などで暴発の危険があるが構わない。渡世人に明日は無い‥
俺含め数人の渡世人がピストルを的に向かって撃つ。
工房の職人が試作した銃だ。
所謂、自動拳銃だ。
これまでも都市部の住民や軍将校の間で使われた事はあるが、装填不良・耐久性・威力・生産性などで問題だらけだった。
護身や道楽程度なら問題無かったが保安官や兵隊、犯罪者たちのような命を預ける者にとっては未だにリボルバーが人気だ。だから普及などしていない。
「お前さんどう思う?」
隣にいた渡世人が話しかけてくる。
名はリックス。歳の近い男だ。中々の修羅場を抜けた顔をしている。服装も何となく近い。
「かなり良い‥弾も1発多いしな‥」
俺たちが試験している銃‥
これまでの自動拳銃より大型・大口径で反動もやや強い。しかし充分な火薬のパワーにより確実な作動をもたらすだけでなく威力もある。
何でも弾薬作りの段階で罪人の遺体や動物の死骸で試し撃ちをして近距離戦に特化した弾丸を開発したようだ。
残酷に聞こえるがかなり優れた実験だと思う。
軍用銃などはカタログ上の性能は問題無くとも、いざ使ってみると使い物にならなかったことがしばしばだ。それは何故か‥要求される性能より実戦は厳しいからだ。
こういった制約に縛られない試験のお陰で民生品から採用される事もある。しかしコネや賄賂が勝つ場合が多数だ。ショットガンなどは民生品から採用された良い例だ。
「気に入って貰えて何よりだよ!」
銃声で接近に気づかなかった。
後ろから初老の男が話しかける。
「設計者のブラウだ。君たちの募集をした者だ」
メガネを光らせて男は話す。
てっきり最初に指示をしていた中年男が本人かと思ったがどうやら弟子みたいだ。力仕事など外向けの方は任せっきりみたいだ。
「いつまでも回転式じゃつまらんだろう?決闘もその内泥臭くなりやがて廃れる」
確かに発展した街なら治安維持が行き届くが、地方や老人が多い地域は価値観が違う。
俺は身の上的に後者だ。古いが変えることは難しい。
しかしブラウの言う事も分かる。
地方まで法治が行き届き武器が改良されればバカ正直に決闘するのでは無く戦い方も変わるだろう‥
これまでも汚い戦いを挑む輩がいたが、何かしら口上を述べたり仁義に沿うような奴も少なくなかった。
アイアランド組なんかは正にだ‥
この間の俺はモロに両成敗していた。
「君たち何やら難しい顔しているね?」
俺もリックスも渡世の掟に従ってきた。
手についた血の匂いは堅気に戻れない。




