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欲望

話を聞くに保安官だけが悪という訳では無さそうだ。

もう少し調べるためにベンがかつて住んでいた家に向かう。


到着したが既に更地になっていた。

通報したという近隣住民の家をみる。そして犯人が逃げた方角なども考える。

場所的にベンの家の裏手側に進むと農夫の家だ。

遠い為銃声が聞こえづらいのは分かる。

逆向きが近隣住民、そして保安官事務所へと繋がる。


ベンが見つからなかったのは犯人と逆方向に逃げたからだろう。農夫の言い分はある程度理解出来る。


しかし犯人がミュラーだとして銃声があり逃げる姿も見られず、通報した頃には事務所にいたというのはおかしい‥俺は役人ではないが気持ちをスッキリさせたい‥強引だがカマをかけるか。

どうせ明日は無い‥


「ちょっとお尋ね申します!」

通報した住民の家に来た。


「はい‥何でしょう?旅人さん」


「保安官代理で参りました。ケン•シャイダーと申します。お見知りおきを」


「はぁ‥ご用件は?」


「隣の一家強盗殺人事件の事で詳しく‥」


「少々お待ち下さい‥アンタ!」

どうやら夫婦の様だ。旦那を呼びに女が戻る。

俺は身分を偽って聞き込む。探れる所まで行く。


「どうした旅人、何かようか?」


「ミュラーさんに頼まれて来ました。こちらにサイン願います」


出てきた男にしか見えないように紙を見せる。

そこには大きい字で“全てバラす”と‥


「んっ!‥お、おう。チョイと抜けるぞー」

「はいよー」


旦那を連れ出す事に成功した。

一か八かで揺さぶる。


「ミュラーと手を組んでるのは分かってる。俺は昨日ベンを捕まえた者だ。ベンから洗いざらい聞いた。どうする?」


「人の足元みやがって!いくらだ?」


「待て待て、焦るなよ。犯人を匿うとは良い度胸だな?しかも金銭まで受け取るとは」


ここでワザと予想を話す。例え外れても相手のリアクション次第で内容を把握出来る。


「おいおい、俺は時間通りに通報しただけだぞ!それに利害が一致したからだよ‥」


「捏造が怖いなら詳しく話せよ旦那さん」

「ケッ、意味あんのかよ‥」

カチッ!


パイソンを構える

「あーはいはい‥」


事件のカラクリはこうだ。

保安官ミュラーは当時金に困っていただけでなく、射撃大会でベンの親父に負けてプライドをズタボロにされていた。それだけでは殺す理由にならない。

同じ時期に近隣住民、つまりコイツがベンの母親と不倫関係にあった。なんと孕ませてしまう。

妻にはバレたくないと思っていた。

類は友を呼ぶ‥

酒場でこの2人がヤケ酒をしてお互いの本音をついこぼしてしまう。


「なぁ‥すべて闇に葬ろうじゃないか?」

悪魔が囁いた‥

それからはもう歯止めが聞かない。


こいつらの罪をまるで背負ったかのようなベンという殺人鬼まで生み出してしまったのだから。


金、プライド、肉欲‥もう地獄だな。


「お前やっぱクズだから証言するわ」

「何!貴様!」


だがパイソンを突きつけられている。

「ミュラーはどうすんだよ?あ?やったのはアイツだろ?」


「勿論まとめてな!」


「はっはっはっ!馬鹿だろお前!無理無理!」


「出来るんだよ、それがな」


俺はパイソンを向けたまま銃を投げた。

適当に見つけたピストルだ。

敵に拾わせれば銃撃戦になる。

この場合、撃ち合いになって殺せば大した罪にならないのがリドラ大陸の法律だ。


「俺はただの旅人。気に食わない奴は殺してきた。渡世の義理で銃も渡した。拾えよマラボケ野郎」


ここで勝てば相手の勝利だがリスクはデカい。

「決闘すんのかよ!旅人!」


「そうだよ。嫌なら黙って証言しろ」

この男は迷っている。恥を晒すか見栄を張るか‥

張れば死ぬ可能性は高い‥


「クソっ!分かったよ。一つ聞きたい」

「何だ?」


「そうまでして見ず知らずのガキを庇うのは何故だ?賞金も貰ってまだ不満か?」


「胸糞悪い‥それだけだ‥」


「変わった奴」

俺は男をつれて農夫の家に向かった。

ケンがこのように拘るのはベンの生い立ちや境遇に自身を重ねてしまう部分があるからです。

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