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奇襲

レッドサンの宿で手足を伸ばして数日‥

そろそろ旅の疲れも取れてきた。

適当に街をぶらつく。

差別が少ないおかげで絡まれる事も少ない。


「おいそこの旅人さん!手伝っておくれ!」

荷車に大量のトマトを乗せた農夫がこちらを呼んでいる。


「お手伝い致しましょう‥」

明らかに害が無いと判断したが、後にこれが分かれ道となった‥


「よいしょっ!‥よっ!」

溝にハマった荷車を時間を掛けて押し上げる。

途中荷物が落ちそうになるハプニングもあったが何とかなった。既に陽は茜色だ。


「いや〜すまないね〜!少ないが貰ってくれ!」

農夫はトマトを2つくれた。有り難く頂く。


途中道で別れてトマトを齧りながら宿に向かう。

あと一息のところで異変を感じた‥

誰かがブツブツ言いながら付けてくる。


「…アカイ‥キライ‥トウチャン‥カアチャン‥」


「‥」


嫌な予感は当たる物だ。

振り返るとそこにはハチマキ男がライフルを持ってこちらを睨んでいる。

理由は分からないがガンベルトをつけてトマトを頬張る俺は役満と言えよう‥


男の身なりは薄汚れて髭面だ。

恐らく野宿して生活しているのだろう。

血走った目の上には例の鉢巻がキツく結んである。

右手には旧式のボルトアクションライフルを持っている。かつて軍用小銃であったスプリングフィールドライフルだ。かなり使い込まれている。銃口には銃剣がギラリと光る。


「何か御用で?」

意味は無いだろうが身構えながら話す。


「アカイキライ‥トオチャン、カアチャン、カエセ‥」

ただ頭が弱いだけでは無さそうだ。

だがここで死ぬ訳には行かない。


スチャッ

素早くパイソンを抜いて警告する。

「早く帰れ!!容赦無く撃つ!!」


「アアアーー!!」

ハチマキ男が狂い出してライフルを発砲する!

銃口がふらついていたので姿勢を変えて避けれたが危なかった。次が来る前に撃つ!


バーン!

マグナム弾でライフルを弾き落とす。

使い手だと思わなかったであろう男は銃を落とし狼狽える。素早く近付いてこめかみに銃口を突きつける。


「動くな!‥お前を保安官に突き出す!!」

その瞬間、今までとは違う勢いで暴れ出した!


「アアアー!カエセ!!カエセ!!」

今度は此方が驚いてしまった。

銃には目も暮れずに首を締め上げて来る!

息が苦しい。


急いでパイソンのグリップで頭を叩く。

「ウアー!イター!!」

問答無用で後頭部も叩く。

男は気絶した‥


起き上がる前に担いで保安官事務所まで行く。

辺りはすっかり暗い。

普段は厄介になる筈の旅人がこうして人を連れて行くのは可笑しな話だろう。


「おい見ろよ!アレッ!」

「とうとう捕まったか!へぇ〜」

通りすがりに色々言われるが早くしなくては。


「旅の者です。怪しい男を連れて参りました」


保安官事務所から小太りの中年男性が出てきた。

一瞬こちらをみてギョッとした。

「保安官のミュラーだ。例の男だな?こちらへ」


そして留置所へ放り込んだ。

簡単な手続きを済ませて宿に戻った。

俺はこの時まだ真実に気付いていなかった‥

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