決着
ズガーン!ドゴーン!
ショットガンとアナコンダの銃声が迫る。
「お前たち!来な!」
ジルが軽装備の手下に合図している。
それから銃撃が激しくなった。
特にアナコンダの強力なマグナム弾はちょっとしたライフル並の威力だ。近づく前にあの世行きだ。
援護射撃の元に手下2人が枯れ木の箱まで走った!
どうやら証拠だけ持ってズラかるらしい。
そうは行かない!
枯れ木まで来た手下をシングルアクションで正確に撃ち抜く。敵の射撃が頬を掠めたが何とか無事だ。
残る手下は3人とジルだけだ。
「親分さん!まだやるか!?」
少し挑発してみる。向こうから来た方が迎撃しやすい。どうなるか?
「黙りな!誰のシマだと思ってるんだい?」
「俺に任せて下さい‥」
スキンヘッドの男がアナコンダをギラつかせながら覚悟を決めたようだ。
この時お互いに隠れながら銃に再装填する。
薬莢の落ちる音やボルトの金属音がカチャカチャと聞こえる‥嵐の前の静けさのように‥
ふと倒した手下の死体を見る。
ショットガンだ‥多少強引だがやるしか無いだろう。
アナコンダの射程に入る事になるがどうせ俺は旅人‥明日は無い。
パイソンをガンベルトに戻して全力で走る!
カチッ、ドゴーン!
カチッ、ドゴーン!
アナコンダのマグナムが炸裂する!
なんとか無傷で死体まで滑り込んだ。
ドゴーン!ズガーン!バーン!
3人が一斉に銃撃する。
ジュバ!ビシャッ!
死体を盾にしている為肉や骨が砕ける音が聞こえる。
当然血も浴びてるが命には変えられない。
隙を見てショットガンとシェルを奪う。
コッキングをして薬室を確かめる。
ショットガンの良いところは薬室に1発多く弾を持てる事だ。素早く装填してコッキング。更に給弾口から1発込める。ポンプアクションだ。
「ウオーーーー!!!!」
思い切り声をあげながら腰溜めでショットガンを岩場に乱射、前進する。
ズガーン!ジャキ!ズガーン!ジャキ!
流石に散弾を喰らいたく無い為に反撃は少ない。
何とか岩場の死角までたどり着いた。
「ハァ、ハァ、ハァ」
かなりキツイが後はやるだけだ。
一瞬、アナコンダの長い銃身が光に反射した。
目の前に居る!
死に物狂いで銃身を手掴みした!
「おっおっ!!」
スキンヘッドも混乱している。
アナコンダの銃身を無理矢理下に下げた状態でパイソンを抜く!
バーン!
頭を吹き飛ばした。確実に絶命した。
それから素早く身を隠す。
「うわ〜〜!」
「死ねや〜!!」
ビビりながら残りの手下が銃を撃つ。
至近距離ではあるが手が震えて狙いが明後日だ。
容赦なくマグナムで片付ける。
バタリと男たちは皆倒れた‥
「へっ‥やるじゃないか旅人‥」
ジルは赤い着物を捲って壺振りと同じ格好になった。
「親分さん‥死んで貰います‥」
ジルが懐からデリンジャーを取り出した瞬間、撃ち抜いた!
バーン!パーン‥
ワンテンポ遅れてジルの銃が宙を撃つ‥
ヒュー‥ヒュー‥
岩場は死体だらけ‥砂埃が時折肌に触れる‥
「‥‥」
手下から金品を奪い取り、青くなったマリを背負う。
当然箱も持って歩く。
ランダを含めたアイアランド傘下の追手が心配だがやるべき事がある。
暫く歩いて着いたのは教会だ。
ドアを叩く。
「どなたかな?ヒェッ!!」
牧師らしき人物が出迎えたが驚かれた。
自分では分からないが返り血が酷いみたいだ。
「すまないがこの女を手厚く葬ってくれ‥マリという女だ‥金はある‥」
俺は手下から分捕ったクシャクシャの札束を渡した。
「構いませんが貴方は?怪我をしているのでは?」
「実は急いでいるんだ‥手拭いと水を貰えないか?」
「これも神のお導きか‥お待ち下さい」
少しばかり教会の長椅子に冷たいマリと並んで座る。
こんな場所に縁などない筈だったが俺の為じゃ無い。
少しして牧師が来た。
「どうぞ‥休まれては?」
「ダメだ。迷惑をかける‥かたじけない!」
名前を聞かれなかったのは旅人に対して配慮したのだろう。ありがたい事だ。
もうこの街に用は無い‥
ベーガスを1人、静かに抜ける…
ややグロ描写がありました。