宿場町
時代劇と西部劇をミックスさせたような世界観です。
主人公やその他設定は後ほど登場します。
それではお楽しみ下さい!
砂塵が舞う荒野を1人の男が歩いている。
目深に被ったブーニーハットは茶色っぽく変色している。軍用の砂漠迷彩も僅かに残るだけだ。
中央には草木を添えるブランチループが縫い付けられている。
長めのダスターコートは同じく変色している。
肩には野宿の為の大きなリュックを背負っている。
黒のパンツは辛うじて砂の侵入を防いでいる。
足にはこれまた軍用のブーツを履いている。
かなり使い古された物だ。
さらに使い古された物がある。
コートの外側に提げたガンベルトは武装している表れである。旅人はあらぬ誤解を防ごうと内側に提げるのが一般的だが、その限りでは無いようだ。
パイソンと呼ばれるマグナムリボルバーが僅かに黒光りしている。リドラ大陸において広く普及した銃だ。
銃身の長さを選ぶ事が出来る。小•中•大の3種類がある。これは中だ。
使用弾薬は2種類ある。
通常弾とマグナム弾だ。前者は安く大量に手に入るが威力も反動もそれなりで護身用には最適だ。
後者は強烈な反動と引き替えに高い精度と威力を誇る。急所であれば一撃必殺だ。値段はやや高い。
しばらく歩いたのちに町が見えてきた。
“レイルウェイ”
リドラ大陸鉄道を建設するにあたり造られた宿場町だ。今では作業員の家族だけでなく様々な入植者で溢れている。列車が通るため比較的物資に恵まれている。砂漠地帯にありがちな水不足も何とかなりそうだ。
町の門を潜るとすぐに井戸と馬小屋が見える。
移動には馬がよく用いられている為だ。
井戸前には老婆が椅子に腰掛けており、こちらを見ている。ここからは旅人の作法に乗っ取る。
男はコートや帽子の汚れを軽く叩いた。
それから老婆に近づく。
「水を一杯貰います‥」
「1デルだよ」
硬貨を渡して水にありつく。
日本円にしておよそ100円くらいだ。やや高いが必ず払わなければならない。
井戸番に挨拶と支払いをするのは旅人と宿場町双方に利益がある。
急ぎ旅や貧乏旅で水補給を怠った者は道中で野垂れ死にしても致し方ない。身元不明者は埋葬すらされずに禿鷲に喰われるのがオチだ。
料金を払い顔見せをする事で町に少なからず金を落とすという事と凶状持ちでは無い証明になる。
仮に犯罪を犯しても顔を覚えられている為に逃げきれない。犯罪と旅死にを回避する術だ。
「宿は右、酒場は左、賭場が進んで右奥。その隣が親分さんの家だよ」
「ありがとうございます‥」
ごく普通の旅行者や商人と違い、旅人は白い目で見られる事がある。これは凶状持ちや賭博師などトラブルの種になる者が多いからだ。
民宿や商店への立ち入りを拒否される事も珍しく無い。金欠であったり不潔な旅人も断られる。
保安官や町人に捕えられたり最悪死亡する。
では旅人はどう生活するのか?
主に賭場の稼ぎや町の親分に世話になる事だ。
賭博だけで生計を立てている旅人はごく僅かだ。
親分とはつまりヤクザの頭だ。
リドラ大陸は面積が広い為に保安官が足りていない。
仮に連絡をしても到着までに数週間はザラだ。
その為に町を支配するヤクザが賭博や売春をする代わりに治安維持の役目も担っている。
そうは言ってもヤクザだ。縄張り争いや怨恨に簡単に巻き込まれてしまう。
そんな世界に厄介にならなければ旅人は生きてはいけない‥
男は賭場を過ぎて親分の家へ向かった。
大きな屋敷だ。
先程よりも入念に埃を落としてガンベルトを外した。
銃のハンマーに紐がついてる事も確認する。
帽子とリュックも脱ぎ捨てる。
「願います。軒先にて挨拶参りました!」
しばらくして大きな屋敷の扉が開かれた。
「旅人さんかい?仁義願います」
身なりの良い中年男性がショットガンを片手に玄関中央に座る。その横にはもう1人若い男が警戒している。
「シール領ノイツ村のケン•シャイダーと申します」
「私、バクスター組のレンと申します。腰の物含めて改めさせて頂きます」
レンは微動だにせず若い男が動いた。
取り調べの間はこちらも動いてはならない。
ショットガンの銃口は天井を向いているが、粗相があれば撃ち殺される。
「異常なしです」
「よし‥ケン殿、御用件伺います」
「旅の道中にて一宿一飯の恩に預かりたい次第でございます。雑事その他お引き受けしてお返し致します」
つまりはタダで寝泊まりする代わりに命を張っても良いという事だ。旅人に明日など無い。
「結構でございます。では此方へ」
上手く挨拶出来たようだ。部屋へ案内される。
「生憎客人がもう1人おります。ご容赦ください」
「結構でございます‥」
広めの部屋に幾つかベッドがあり、洋服掛けや備え付けの洗面台などがある。トイレは別だ。
軽い間仕切りのような物もあるがあまり意味はない。
「お前さんも親分に世話になるんだな?俺はガイ•リーだ。旅人同志宜しく頼むぜ!」
口髭を綺麗に揃えた40歳くらい男だ。赤みのあるシャツを着ている。洋服掛けには黒のダスターコートが見える。
「ケン•シャイダーだ。宜しく‥」
時刻は夜の5時過ぎ。食事の時間まで持ち物や銃の手入れをする。もしも客人部屋で撃ち合いが起これば、旅人全員が連帯責任であの世行きだ。安心して手入れが出来る。
「俺の得物はコレさ〜!」
ベッド脇から銃を取り出した。同じパイソンだ。
「大を選んだのか?」
「へへっ!そうさ良く当たるぜ!」
なかなか嬉しそうだが不安だ。
もしかしたら初心者かもしれない。
「俺は中だ。飯まで時間が少ない。少し外す」
「チッ、つまんね〜な。どうせ何も起きないよ!」
何だか歳上じゃない気がして来る。
まぁ良い。信じられるのは己のみだ‥
部屋のドアを叩く音が聞こえる。
「食事が出来ました」
俺たちは別室へ向かった。
如何でしょうか?
登場する武器、小道具、概念等はやや現実的です。
あくまでもファンタジーという設定でやって行きたいです。応援よろしくお願いします!




