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シークレットライト  作者: 中桃
〔1〕魔術魔法専門学校への道
2/3

2.無理!

冬が来て、一周回って少し雪解けが始まった頃、学校から帰ってきたら、母に呼び出された。


 「話があるから、リビングにいて」


だそうだ。

 正直に言って怖いし恐ろしい。

 もしかして、科学のテストが10点満点中3点だったことだろうか。

 そしたら大変だ。点数がバレたらその日はもうない。

 今すぐにでも聞いてテストの点数を誤魔化さなければ。

 ユーサがそんな物騒なことを考えていると、台所にいる母にこう言った。


「おっお母さん?もっもしかして科学のテストのこと…?」


「はい?テストなんてあったの?」


 あっやべ、ユーサはそろーと母から顔を背けた。

 もう嫌だ。部屋に戻っていいだろうか?

 色々なヘマを起こしたユーサに、更に母から一言追加があった。


「まあ、後で話を聞くから安心しなさい」


 今、母からテストの結果を聞くような発言が聞こえたが、気のせいだろう。

 …そう思いたい、そう思わせてくれ…と誰もが願うだろう。

 しかし、安心して欲しい。少なくともユーサのような点数を取る者はいない。


「うへぇ…はっはぁい…」


 それにしたって、いつもの母ならまず最初にテストの点数を聞くはずだが、いつも以上に重大な話があるのだろうか。

 絶妙な雰囲気に、ユーサが椅子に寝っ転がると、母が来るのが見えた。母が手を拭きながら、リビングに来る。

そして、ユーサの目の前に座ってこう言った。


「ユーサ、貴女メジューサに入学なさい」


「え?」


 突然の命令に戸惑うユーサ。しかし、ユーサが戸惑うのも無理はない。

 ユーサの母が言ったメジューサは、アシュレット王国で唯一、魔術と魔法の教育をしている専門学校だ。

 しかし、一般的には才能がある庶民で、特待生に相応しい実力だとしても、魔術専門学校__バレイテ、行くのが普通だ。

 国内で一つしかない学校とならば当然のこと、エリート中のエリートしか集まらない。

 しかしユーサの母はそんなエリート学校に行けというのだ。

 ユーサはレイットと訓練をしたあの日から、約1年半が経っている。同じ頃に学び出した者は水球が槍に変わっている。それでも、もうそろそろ、成長を遂げているのだろう…と思うだろう。

 しかし、ユーサとては、まだ水球を2mまでに飛ばすのが限界だ。何故か。それは単純明快だ。魔術の訓練をサボっていたのである。

 つまるところ、ユーサがにはメジューサに行くほどの実力がついていないのだ。そんなユーサにメジューサに行けと言うのだ。

 ユーサは母の精神状態又は頭の中を心配した。ユーサは心配そうな顔で我が母を見つめる。心配しているユーサだが、ユーサは母に対して、「魔術の訓練してくる〜」と、言っていた。自分の能力を心配して欲しいところである。

 ユーサの母はそんな視線をすらりとかわし、こう言った。


「ほら、レイットさん。今年度からメジューサの教員として働くことになったでしょう?」


 そう。ユーサの訓練を手伝っていた講師のレイット。今年度からメジューサで教員をやることになったのだ。

 レイットは「当然の結果ですよ」と鼻を高々にして喋っていたとかなんとか。

 そのため、昨年度でユーサの専属の講師を辞めることになったのだ。


「まぁ、別に監視いないし…」


 ユーサはそう言い訳をして、魔術の勉強をさぼっていた。

 ユーサが嫌な予感を感じ、顔をしかめる。


「魔術と魔法の専門学校に行ったら、理解力も上がるし、直接レイットさんからまた教え

てもらえる!一石二鳥!」


 そう言って母は手を叩いてニコリと笑った。

 こういう時に限って嫌な予感が当たるのはやめてほしい。 そもそも最近は魔術の勉強、訓練をさぼっていたのだ。魔術の訓練などレイットと最後に訓練したきりなような…

 魔術などレイットと最後に訓練した時の、実力のままだろう。

 否、実力は確実に下がっている。

 レイットに聞かれたら、もれなく3ヶ月付きっきりの魔術の特訓コースが、始まるだろう。

 ユーサは色々な意味で、メジューサに行きたくない。


「無理ぃ…」


「まあなんとかなるでしょ〜」

 

 誰か。この能天気な母を止めてくれ。

 と思っていたし、絶対にユーサは地の果てまで追いかけられてもメジューサには行かない。行きたくない。とも思っていた。

 そう、この時ユーサはそう思っていたのだった。

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