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ドラキュラとの戦い

ドラキュラとの戦い


「小娘、瞬間移動魔法まで使えるのか」

「覚えたてじゃがな」

(おぼえたてだと~)

「さて始めるとするか」

「こしゃくな!」


魔公爵が懐から剣を抜く、何処から出したのだろうか鞘など見えなかったが、たぶん彼もストレージ持ちなのだろう。

そして剣を持ったその状態で構えなどもせずマーシャへ突進してくる。


バギャン!

「く なんだ!」


マーシャは事前に防御魔法をいくつか使用している、バリア・プロテクション・さらにアシスト系魔法を使い効果を倍加する。

もちろんもともとの身体能力は各種スキルで上昇したまま、いつもはスキル効果も使用しないように設定していたりするのだが今回はそれを幾つか発動している。


「何だその魔法は!」

「ただの防御魔法だが」

「この剣は魔法剣だぞ、どんな魔法の障壁も破壊するはずなのに」


確かに魔公爵が持つ魔剣は黒く染まり赤いオーラのような物が立ち上ってはいたが、マーシャの防御魔法の前では傷一つ付けることはできなかった。


「くそ!」


そこへチームマーシャ、そして宰相さらに魔将軍ガガリンがやって来たが、近寄るととばっちりは確実に受ける事になる、近寄ることなく邪魔にならないように決闘場所から300メートルほど離れた場所、そこで彼らは見物する事にした。


「どちらが勝つと思います?」

「え?お前達はあの皇女の手下じゃないのか?」

「手下ではないわよ、下僕?かしら」

「将軍様私達は下僕ではありますが彼女の命令に背けないだけで味方という考えは少し違うようです」

「そうじゃな、いうなれば今は傍観者じゃな」

「命令があれば従いますが、それ以外は自由なようです」

「そんな隷属魔法があるのか?」

「目の前に」


そういって胸をはだける、そこには天使の烙印が淡く光る。


「それは?」

「あの姫様神の使いみたいですよ、いわゆる聖女的な」

「では魔公爵は勝てぬではないか…」


そう魔族でも魔獣系ならばまだしも級血族バンパイヤは光系統の種族に対し不利な属性を持つ。

通常の攻撃でさえ逆に体を壊されるようなデバフを食らうことになる、勝ち目は最初から無いといっていい。

ではあえてマーシャが戦う意味は?彼女はこう考えている。


(ま 魔族それもドラキュラだと~く~リアルドラキュラでた~)


考えと言うより珍獣見たさに勝負を持ちかけたに近い、マーシャは自分がどれぐらい強いかも確かめてみたいという気持ちもある。

先の魔王と対峙した時もその鑑定眼でほぼ強さが推定できた、今のマーシャだったら魔王も恐れずに戦える、だから魔公爵相手でも負ける事はないと判断した。

たぶんマーシャは魔公爵を殺すまではしないだろう、そこまでの相手ではないし、魔公爵の剣技を見てもたぶん残念がっているのではと思う。


「くそ!」


そう言うと魔公爵は闇に紛れまるで瞬間移動のようにマーシャの後ろへと姿を現し、そこから魔剣を叩き込む、だが…


ガンッ!キンッ!ダンッ!

「何じゃおぬし剣を持っていても剣術は知らぬのか?」

「くそなぜ切れぬ!」

「当たり前じゃせっかく少し手加減してやっておるのに、ただ闇雲に剣を振るっても傷など付くわけが無かろう」

「仕方ない、少し教えてやるか」


そう言うとストレージから一昨日魔族の暗殺部隊と戦ったときにガメて置いた小刀を取り出し、少し魔法を掛ける。

相手の剣が魔剣だというのならば少し魔法をかけ強化しておかないと直ぐに折られてしまうからだ。


「ソードプロテクション、ミディアムさらにシェルもかけておくか」


小刀が淡く光る。


「ちゃんと構えないと死ぬぞ」

ダン!


時間は夜中の2時を回り辺りはすでに暗く、両陣営のかがり火だけがあたりをうっすらと照らしている。

常人ではこの暗がりの中、まともに戦う事など出来ないはずだが、マーシャはスキルだけで目の前はせいぜい曇り空ぐらいの状態まで視覚を補助しており、戦闘には全く支障が無い状態。

対する魔公爵は当然、夜行性の魔族、昼間のごとく相手が見えている。

それなのに一瞬マーシャを見失った。


バキンッ!

「グオッ!」

ズズッザザー


マーシャの剣戟を受け何とか踏みとどまったがそれでも数メートル後ろへ引きずられる。


「な なんだと!」

「次いくぞ!」

ギャンギャンギャリンガンッ!

ドカンッ!


マーシャはわざと魔剣に向け小刀を振った、さらにぶちかましまで入れる。

魔公爵の体は宙に浮くと共に10メートル以上後ろへと飛ばされる。


「グハッ!」

(なんだと…)

「どうじゃこれでパワーは半分ぐらいじゃ」

「クソッ、ならば魔術で…闇よ我が力の糧となれ!」


魔公爵は闇の力を集めるとその闇をマーシャにむけて解き放った。


ムオオオオオオオオオオン…

「これは…フムフム、状態異常魔法に吸収魔法か、ならばこうじゃホーリーシールドさらにホーリージャベリン」

ピカピカピカッ!


マーシャの片手から光の盾が産まれると、魔公爵が放った闇がその盾に全部吸いこまれていく。

さらに反対の手には光の槍が発現し、マーシャはわざと投擲の構えを取り魔公爵目がけて光の槍を投げつけた。

勿論軌道修正が効くホーミング魔法も組み入れた聖なる槍だ、槍は公爵がわずかに避けるもすぐに軌道を修正し狙った場所へと吸い込まれていく。


ブンッ!

「なんだと~」

ズン!

「グハッ!」


普段なら魔力を目いっぱいこめて投げるホーリージャベリン、マーシャは思いっきり手加減をした、そうしないと魔公爵は死んでしまうから。

光の槍は魔公爵の腹へ突き刺さり、ホーリージャベリンから放たれる光で魔力を無効化されていく。

そして魔公爵は力を失いながら膝を付きそのまま地面へ仰向けに倒れそうになる。


「ゴウォ、何だこの槍は~ ぬ 抜けん」

「上手く刺さったな」

「ぐ~~~何故だ~」

「すまぬなわらわは神の巫女らしいぞ」

「神の巫女、聖女か」

「そうとも言うな」

「こ 殺せ~」

「何故?」

「神とは相容れぬ」

「それは違うぞ」

「なんで…」

「おぬし別に神を憎んではいても、神と戦った事など無いのだろう?ならば敵と思っておるのはおぬしらだけじゃ、神はすべての魂を作ったと聞く、それは魔族も同じじゃ、全ての魂に敵味方などと言う概念は存在せぬ、例え魔族であろうとも神が作ったのじゃからな」

「な…そ  そうなのか?」

「おぬし死んで神に会ったことなど無いのだろう、わらわは死んで天使に会った、そして聞いたぞ魂というのは神が作って死ぬとリサイクルされるとな」


ドラキュラという種族は魔族の発展型と言って良い、神を恐れぬ諸行というがいうなれば人体実験の成れの果てだ。

そして日の元に出れなくなった彼らは自分達のこの状況を憎み、すべては神のせいだと言う事にしただけに過ぎない。

長い年月で自らが行なった行為さえ忘れ去ってしまうとは。


「魂 リサイクルだと…」

「死んだことが無ければ分かるはずもないじゃろう」

「なんだと 確かに死ななければ神 いや天使になど会えぬが」


マーシャはそう言うと魔公爵の腹に刺さった槍を引き抜く、手加減しただけあってその穴は槍を引き抜くと見る見る戻っていく。


「な あれ程抜けなかった槍が」

「どうするまだ戦うか?」

「いや 決着はついた、そなたの勝ちだ 今回は従おう」

「それで良い、従わねば奴隷紋を刻まねばならぬ」

「天使の烙印か」

「そうじゃ、おぬしも下僕になるか?」

「それはごめん被りたいが、もしそなたに従わねばそうなるのか、それも面白そうだが今回はおとなしく従おう」

「そうしてもらえるとこちらも助かる」

(吸血鬼の下僕を連れまわすとか、まるで×ゲームじゃそんなのいらぬ)


「あ~そうだ一つ質問だがおぬしらはダンジョンで訓練はしないのか?」

「それをやると魔獣の兵は使えなくなる」

「ああそうなるな、だが魔獣に頼ると自らの能力は上がらないではないか?」

「たしかにそうだ」

「おぬしが強くなるためにもダンジョン攻略はした方が良いと思うがな」

「考えておこう」

「それともう一つ、コロシアムはないのか、闘技場と言うやつじゃ」

「魔法学園などではそういったこともするが、戦時中に娯楽を行なうような事はないな」

「そうかお互いの力をかけてそれまでの努力の成果を見せて戦うのは、強くなるためにも必要だと思うがな」


魔族たちの溜まったうっぷんを晴らすにはそういう模様し物をするのが手っ取り早い、祭りやカーニバルといった祭事もストレスを軽減することができるがこの時代この国ならば闘技場での合法的な戦闘の方が向いている。

そうすれば戦争を求める戦バカの気を少しは紛らわせることもできるだろう。


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