皇女は知らない
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皇女は知らない
「何か、聞いてるとすごく恥ずかしい・・」マリオス
「え・何の話です?」ロキ
「姫様にはまだ早いです」従者
「いやいやもうロキ姫は15歳でしょう、ちゃんと教えてあげないと」フラン
「いやいやまだ早いです」従者
それを考えるとマーシャはどうなの?と言いたくなるが、前世からの経験も合わせると24年生きているという形になるので、外見以外ではセーフな状態。
だがこの世界で15歳は一応大人の入り口なのでそろそろちゃんと教えてあげないとね。
「という事じゃ、決行は今夜9時3人で魔王城へ乗り込む、そうすれば定期連絡前に宰相を含む戦争派を粛清できるかもしれないからのう」
「姫殿それでよいのですか?」
「良いも何もわらわが大丈夫じゃと言っておるのじゃ、皇子殿ではどうもできんのじゃろう」
「そうですが・・・」
「何じゃ魔族の皇子殿も心配性じゃのう」
「いやそうではなく・・」
「妾はこれでも15歳クラスで負け知らずじゃそれに魔法はほぼ全て使える、剣術も剣聖クラスじゃ、それにな」
(ごにょごにょごにょ)
「本当ですか?」
「まあそういう事じゃ、任せておけばよい」
マリオスには、天使の使いじゃと言っておいたが、信じようが信じまいがあまり関係がない。
マーシャの代わりに行けるものなど誰もいないし、お付の奴隷にも聖なる加護が付いていたりするので、まあ出たとこ勝負といったところだ。
問題なのは魔王ではなく宰相と現王妃、王妃が操られていた場合はその魔法を解除し宰相を叩く。
現王妃と宰相の2名がともに結託している可能性が一番高いが、2人共に悪者だった場合は2人とも粛清、奴隷にしてしまえればそれが一番だ。
魔法は他にもあるので、色々と覚えた魔法を使用してみようと思う。
例えば浄化だとか、記憶操作だとか奴隷魔法ではなく身体操作魔法とか、組み居合わせればいろんな魔法が作れる。
とにかく悪いことをできなくしてしまえばいいだけなので、マーシャはそう考えるとワクワクしていた。
「たのしみじゃ」ニッ!
午後三時
捕虜は全員屋根だけ付いた簡易テントの下へ、隷属魔法で完全にこちらの言う事を聞くので、まったくと言っていいほど手間いらず。
問題なのは彼らをどうやって運ぶかだ、一応マーシャ達も明日明後日には帰る予定なのでどうせだから王都まで連れて行こうかという話にはなっている。
暗殺者と言ってもそれほど体術や魔術の修練度は高くはないし、基本的に魔術を使うというより魔術道具使いといった方が早いかもしれない。
持っていた持ち物の中には魔術札や魔法陣の書かれた巻物や連絡用の魔道具などが多く。
武器は全て魔道具のようで、毒の術式が仕込まれている短剣やクナイなどを所有していた。
今は魔真隊の隊員に武装解除されている、すでに彼らが持っていた魔道具の解析は済んでいて、作戦失敗時に魔王国側に発信されるような魔法が掛かってないかを調べ終えた状態。
一応そういった魔道具は持っていないと分かって一安心というところ。
「それでは夜まで暇じゃ、魔法の訓練でもするか?」
「そうしましょう」
「どうせならみんなでやろうぜ」
「それはよい」
「皇子殿も皇女殿も一緒にどうじゃ!」
「教えてくださるのですか?」
「うぬ、受講料は無料じゃ!」
それから2時間、最初は基本の魔術、防御魔法の重ね崖による魔力量の増幅。
皇子も皇女も、もともとの魔力量が高いため、こういう訓練はしていないらしく。
マーシャの言うことに素直に従いみんなと同じようにまずは防御魔法を何度となく唱えている。
「上級防御魔法でも行けそうですね」
「皇子様は魔力量も大きいので枯渇するには魔術の使用量が大きい魔法でないといけませんね」リリアナ
「お兄様私気分が・・・」
「皇女様無理はせずに気分が悪いときはすぐに腰かけて大丈夫ですよ」クレア
そうやって魔法の訓練が終わると次は体術の訓練。
「そうじゃ、お互いの手の裏と裏を合わせ押し合う」
「そうそう、次は手を変えて互いに押し合うのじゃ」
数種の型を30分組手をやって、次に剣術。
「木剣がないので先ほど取ってきた枝で行うがよいな」
さすがに皇子は剣術の初歩を少しかじっているらしく、15歳クラスの男子とほぼ同じぐらいの力量が見て取れた。
だが皇女はやはり箱入りのようで、剣術はついてくるのがやっと。
もちろん魔法専攻の女子にも剣術をしてもらう、これは剣術を伸ばすのが目的ではなく、もしも近接戦闘時に相手が剣士だった時、対処するのが楽にできた方がよいからというのが理由だ。
まあそれで男子に勝てればなお良いのだが、ふつうは男子の方が腕力で勝るので、女子には避け方いなし方を重点的に教えている。
「どうじゃ!」
「マーシャ殿はこんな事を毎日しておられるのですか?」
「これは序の口じゃ、学院では毎日授業以外に試合をしておる」
「皇子様マーシャ様は毎日4試合しております、しかも全員年上で魔法剣術どちらの試合でも、今まで負けなしです」
「なぜそこまで?」
「後悔しないためじゃ」
そういわれるとぐうの音も出ない、皇子として当たり前のことをしてきたつもりだった。
だが結果はどうだ?暗殺者に追われ2人の兄弟は殺され、残ったのは自分と末の妹だけ。
もし自分がもっと強ければもっといろんなことを知っていれば。
後悔してもしきれない、兄弟たちはもう帰ってこない。
「それでもマーシャ様の強さは度を越えています」
「妾はそうは思わぬ、この世に生きとし生けるもの、その中で人という形を与えられ、その中でも最高の位置を目指せるのじゃ、一番を目指さぬ道理はないじゃろう?」
「神がそう位置付けたのなら、挑戦して神の鼻を明かしてやろうと思わぬか?」
「マーシャ様、普通はその前に自分の事だけで精一杯で、志はあろうとも目指そうなどと考えてもすぐ挫折してしまいます」
「まあ確かにな、だが妾と旅をしてどうじゃった?」
学生たちはそれぞれを見て、さすがに8日経ち今回の旅で思うところがある。
それは簡単なことだ、やればできるのだ、誰でも多少の差はあれどやればできる。
ただそれを正しく指導してくれるものさえいれば。
マーシャの教えは実践が多い、座学でいくら学んでも実際にやってみないことにはそれが正しいか間違っているかはわからない。
だから覚えたら即実践、彼らもすでにそれが分かっている、クラスメイトは現在たくましく変化している。
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