思いもよらない遭遇
思いもよらない遭遇
一時、ルルドの泉を見学しそこからは川を下る、川といっても上流の細い川、下流へ下るほどやや広くはなるがそれでもさほど広くはない、途中でほかの支流と合流すると湖が見えてきたころには小川ぐらいの大きさになっていた。
「見えてきましたね」
「おお かなり大きな湖じゃな」
「あれ?あそこにあるのは何でしょう?」
湖の左側にあるのは家、いや屋敷と言っていいぐらいの大きさがある。
そしてその近くには魔物が…
「全員戦闘準備!」
「まじか」
「姫様どうします」
「魔物は全部殲滅、魔族がいたら知らせよ、我がしもべにする」ニッ!
(ひっ!)
マーシャはどんどん歩いていく、魔物がいても変わらず、たぶんその顔は微笑んでいるのだろう、向こう側から見ればそう感じるはずだ。
だが魔族には不気味な微笑みに見える、魔物がいても恐れず怖がらず。
しかも彼女はいつも手ぶらなのだ、武器も持たず近づいていく。
「どうした来ないのか?そうそうそれでよい」
(ぎゃぎゃがあー)
ゴブリンが数十匹マーシャめがけて押しかけるが、先ほどの水魔法で得た知識を使いマーシャは体の前面に氷の弾丸、いや氷の針とでもいうべきかそれを数百作り一斉にゴブリンめがけて飛ばした。
「アイスニードルズ」
(しゅんしゅんしゅんしゅん)
(ズッズブッズシュズシュズシュ・・・)
瞬時に数十匹が骸となり倒れていく、それを見て後からきたゴブリンは足を止めた。
「姫様俺らにも」
「ずるいっすよ」
「私も」
屋敷の周りにいたゴブリンは100匹前後、そこにはゴブリン以外には見当たらなかった。
そこからは全員で蹂躙、先生も交じって魔法や剣術、今まで修行した成果を出し惜しみなく使った。
「このぐらいですかね」
「もうおわり?」
そこへ建物から一人魔族と思われる男がひとり出てきた。
「お前たちはだれだ!」
「ん?」
「皇子殿下?」
「そなたは?」
「ゾーヴィル侯爵家が一人娘フロウラ・ゾーヴィルでございます」
「そなたは…学院で…」
「覚えておるぞ、フロウラ、それよりもその方らは?」
「こちらはアルフレア王国第三王女マーシャ様です」
「アルフレア王国第三王女マーシャ・オースティン・アルフレアじゃお見知りおきを」
スカートをつまむと左右に広げちょこんと膝を折る。
「お~かわいい、いやいやそうではない、われを捕まえに来たのか?」
「それはどういう?」
「妾は敵対しなければ何もせんぞ」マーシャ
「…いま出会ったばかりでは何もわからぬな」マーシャ
「いや たしかにそうであった、すまぬ」
「詳しく話を聞いた方がよさそうじゃ」
「では屋敷の中で話そう」
その屋敷は湖の湖畔にある別荘というようなたたずまいをしていた、2階建てのかなり大きな屋敷。
木とタイルで作られた白を基調としたなかなかおしゃれな作り。
中に入ると1階は広いホールのよう、右側には長いテーブルと椅子がおかれ、正面にはエントランスと左右に階段が配置されていて。
左側には応接間とみられるソファがおかれていた。
学院の仲間にはリビングとみられるテーブルの置かれた部屋で待ってもらい、応接間とみられるソファのある部屋で話し合うことにした。
中には皇子とは別に数人の魔族がいたが2人を残し全員が2階へと姿を消した。
「あの者らは?」
「魔王宮警護隊の隠密騎士だ」
要するに皇子付きの警護隊である、だがその人数はかなり多い先ほどの部屋には5人いたし、サーチ魔法には全員で13人、二階には他にも2人の魔族がいることが分かる。
皇子が椅子に座るとおつきの2名が左右に立つ。
「どうぞお座りください」




