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次はルルドの村

次はルルドの村


ワカシーロからルルドまでの道のりはかなり厳しかった、すでに道は雑草で覆われていて道はほとんど見えない状態。

それでも機工車は馬車と比べればかなり楽に進むことができた。


「すごく揺れますね」

「ルルドが魔族に襲われてからすでに2か月くらい経ちますからね」

「この時期だ、放っておけばそこいらじゅう雑草が生い茂り道も草だらけじゃ」

「でも機工車はすごいですね」

「馬車ならばこんなにどんどん進めはしない」

「魔族の国にはこういう車はないのか?」

「魔王国は車よりも飛行魔法の方が進んでいます」


王国でもグリフォンやペガサスなどのキメラを、空の乗り物として利用しているがその数は少ない。

魔王国は飛竜の生息域が多く、かなり昔から飼育されているため飛竜による移動手段は王国より進んでいる。

ほかの移動手段だと魔族の場合転移魔法を使用するので機工車のような乗り物は考えていないらしい。

確かに魔力が人より多く転移魔法による移動が簡単にできれば車などいらないのかもしれない。


「姫様そろそろ到着します」

「ん」


到着した場所は村の手前の空き地なのだがそこには雑草が生い茂り空き地というより草地というような場所だった。

そこに10台の機工車と10台の馬車が入るにはかなりの無理がある。


「リリアナよ整地を行うぞ」

「はいマーシャ様」


そういうと目の前に広がる身の丈を超える草を全部土系魔法で生い茂る草ごと耕していく。

その広さ100メートル四方、あっという間に空き地が出来上がりマーシャはその土を魔法で固めていく。


「グラビディプレス」

(ズズ~~ン)


こうしなければ車輪を取られ動かなくなってしまう。

こうして整地を済ませ10台の機工車と馬車を停めていく。

マーシャと騎士隊そして村人は恐る恐る、村へ入る入口へと向かう、遠目から見てもかなり建物は壊されており、ワカシーロ村と比べればかなりの荒れ具合。


「やはり…」

「これでは元の場所にまた村を作るのは難しいな」

「はい」

「家はほぼ全部壊れているな」

「畑の位置はどのあたりじゃ?」

「はい ここから1kほど行ったあたりです」

「村の先の方はどうなっておる?」

「少し傾斜がございます」

「川があそこか…」

「この先に湖があるのか?」

「はい」

「井戸はあそこか…」


マーシャは村の大きさを頭の中で展開し、村の規模を設定、同じような広さで村を作るのに適した場所を地図スキルや座標スキルを使いどの場所が良いか調べていく。


「リリアナよMPはまだあるか?」

「まだかなりあります」


リリアナのMP容量もこの2・3日で1.5倍に増え先ほどの整地魔法を使っても使用したのはせいぜい300MPぐらい。

魔法の指輪のおかげでかなりの節約ができるうえ使えば使うほどMP容量が増えていく。


「それでは村のこちら側を100メートル四方を2つ、このようにつなげてな」

「はいかしこまりました」


そういうと村の真横にある雑木林のあたりを土造成魔法を使い数十本の木と草をあっという間に整地していく。


跡には縦200メートル幅100メートルの何もない土地が出来上がった。


「このぐらいでよろしいですか?」

「うぬ 完璧じゃ」


そしてマーシャは先ほどの駐車場と同じように重力魔法を使い地面を固めていく。


「グラビディプレス」

(ズ~~~~ン)

「おお~すごい」

「これで新しくこちら側に家を建てればよいじゃろう、水は元の井戸からとれるからそう面倒でもなかろう」

「ありがとうございます」

「とりあえず倒した木はそのまま家を建てるのに使えるじゃろうし」


壊された廃墟のとなりに造成したので、農具などの家財道具は家ができてから取りに行ける。

全く違う場所に移動するよりは楽にやり直すことができるだろう、それに元の場所も手入れをすればまた使うことができるので、うまくいけば前の村の2倍の土地を利用できる。


「それでは魔真隊の皆さんも、協力お願いします」

「かしこまりました、ではまずは家を10軒ほど建てましょう」隊長


魔真隊の面々も造成魔法や作成魔法を使えるので、あとは任せておくとしよう。


「ん…もしかして」

「ああ姫様、そうです空間魔法ですね」


そう魔真隊の面々の中でも亜空間魔法、いわゆるストレージ持ちという荷物係がいる。

彼らは手ぶらでも亜空間に物資をためておくことができるため、ストレージから材木や食材といった支援物資を次々に取り出すと空き地に並べていった。

木材やレンガなどは企画ものらしくストレージから取り出すと、別の隊員が方っ端から家へと組んでいく。

一応全部平屋だが柱を立てたかと思うとレンガがあっという間に組みあがる。

接着用のセメントらしきものまでアッという間に乗せられ、次々に組みあがるさまは見ているだけで笑みがこぼれるぐらいだ。

数時間たった時にはすでに5軒の家が建っていた。

中は暖炉まで付く立派なものだ、一つの建屋で10人が暮らすことが可能だ。

そして傍らにはテントを立てている、今日魔真隊の隊員達はそちらで寝るという。


「今日はこちらで寝てください我々はまだすることがございますので」

「いいのですか?」

「構いません我々は現在戦時中という立場で動いております、これも訓練なのでどうぞご自由にお使いください」


そういわれれば断るわけにもいかない、マーシャ達学生は出来立てほやほやの建屋を一つ使いその中に寝袋や布団を敷いて寝ることにした。

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