復興支援
復興支援
この日から復興支援を含めた北の守りを第一王子主導のもと行うこととなった。
まずは北の砦へ約半数の600人機工車40台、この部隊にはロドリゲスも同行し一時マーシャとは別行動となる。
そして100名がボロウロアの復興支援でこの場にとどまり、さらに100名ずつを2つに分け北の砦周辺の警備。
村への復興支援は50名づつを2部隊に分けマーシャとともに村の復興へと同行した。
捕らえられた魔族28人は荷馬車に乗せ王都へと送られることになった。
「姫様われわれはこのままでよろしいのでしょうか?」
普通捕虜となった魔族=戦争犯罪人は王都において情報を収集するため拷問を受けるのだが。
はっきり言うと拷問などということは魔法があるこの国この世界ではありえない。
魔法で相手の考えていることは簡単にわかるのだから、まあ魔法を阻害するバフやスキルを持っている場合はその限りではないが。
今回マーシャによる個人情報スキャンによれば、魔族の補給部隊クラスではそれほど有益な情報を持っているわけではない。
それでも拷問したいとなればそれはただの趣味であり性癖に他ならない、魔族の28人は王都では牢屋へ入るというのが一般的な流れ、但し一般の犯罪者としてではなくあくまでも捕虜扱い。
今後魔王国との交渉に使われるため、あまりぞんざいに扱うことはできないのだが、魔法がある世界では証拠隠滅などさほど難しいわけでもないので、一応王族の姫が口に出して注意したぞと言っておくのだ、ばれたらお仕置きするぞと。
「うぬ おぬしたちは妾の奴隷としてすでに扱われておる、胸には紋章まで刻まれておるからそれを解除して王都へ送るなどということはない、王様からの命令があれば別だがおぬしらはわらわが直接奴隷化したのだ、横からよこせというのならそれなりの対価を得なければならぬ」
「姫様もなかなか言いますね」
「当然じゃ」
「姫様準備ができましたよ」
第一王子が到着した次の日続々と荷馬車で支援物資が送られてきた。
「それでは私は北の砦へ向かう、マーシャよあとは任せたぞ」
「それではわたくしも参ります、姫様我が娘をよろしくお願い申し上げます」将軍
「はいお兄様、将軍」
「しゅっぱーつ」
結局北の砦へは総勢800名以上その中にはロドリゲスと魔真隊将軍リリアナの父ビルシュタインも同行する。
そしてマーシャ達は最初の村ワカシーロへの復興支援という名目で魔真隊100名そして地区の騎士隊30名、村人50名そしてマーシャ達13名を引き連れ出発した。
ワカシーロ村までは魔真隊の機工車に乗り込む、この車は12人乗り。
今回2つの村までは魔真隊100名が同行するので機工車10台馬車20台にそれぞれ分乗する。
もちろんマーシャと奴隷魔族それに女子学生数人と獣人2名は同じ機工車に乗ることになった、男子たちは別車両だ。
「よかったですね食料が手に入って」クレア
「じゃがほとんどは村人への支援じゃ、我々はできるだけ途中で別途手に入れるのじゃぞ」
「え~そんな~」フラン
「まあ今年は豊作じゃから農作物に被害がなければそれほど支援物資を使用しなくても大丈夫じゃろう」
ボロウロア町からワカシーロ村までは40k、話ではワカシーロ村はそれほど被害が出ていないという話だ、魔物に襲われる前に村人が避難したからという話。
ということは家が壊されていなければすぐに立て直しが効く、今回ワカシーロ村の住人は20名程度同行し、村に着いたらすぐに被害を調べ復興と同時に残りの村人が帰郷するのを支援する、そのための魔真隊50名だ。
今回の事件ではルルド村の被害が一番ひどいであろう、村に着けばすぐに住む家の修理を早急に行う必要がある。
「おぬしらの召喚した魔物はすでにいないという事か?」
「はい召喚術は召喚したものが終了を宣言したと同時にその場から消えてなくなります」
「召喚したゴブリンは魔王国のダンジョンで飼育しているもので、ダンジョンから召喚する形になります」フロウラ
「そうなのか…ふむふむ」
「へ~普通に飼育しているんじゃないんですね」ミミー
「ダンジョン自体も魔法で作られたものなので、魔法生物は基本魔法による生成に依存します」
「外へ出れば魔物は食料が必要になり、たいていは肉食なので、人を襲うのが一般的ですね」
「ダンジョンは一つだけなのか?」
「いえ現在は10か所存在しております」
「そうなるといずれはそのダンジョンもつぶしてしまわないといけないかもな」
「どうしてです?」ミミー
「ただで手に入る兵がいるから王国へ攻め入ろうなどという考えがうまれるのじゃ」
「自分たちの手を汚さないで楽して戦えるからですね」リリアナ
「そうじゃ」
「でもダンジョンを消すことは難しいと思います」ジル
「魔王国ではダンジョンを攻略しておるのか?」
「いえ魔王国のダンジョンは攻略してしまうと消滅する可能性があるので攻略はしておりません」
「やはりそのタイプか…」
「姫様、魔王国のダンジョンを全部攻略するつもりですか?」クレア
「そのつもりだが、何か?」
「いやいやそれは無理でしょう」フラン
「どうしてそう思う?」
「10か所あるダンジョン魔族でさえ攻略できないわけでしょう?」
「先ほどの話ちゃんと聞いたのか、魔族は攻略できるがしないだけじゃ」
「姫様、攻略しないだけではございません、すべてのダンジョンは階層が100以上ございます」
「今までに何万人と挑戦して誰一人としてダンジョンを完全攻略しておりません」ジル
「そうなのか?」
「はい」
「もしかしてそのダンジョンの中に竜がいるとか?」
「その通りです」フロウア
「おお~」
「何うれしそうにしているんですか~」
「竜じゃぞ竜!見たいと思わぬのか?」
「思いませんよ~」
通常ラノベや過去の文献などから想像するにダンジョンの竜とは太古の生物である恐竜からの情報を現代風にアレンジしたものがほとんど。
基本的には卵から生まれるトカゲの巨大な風貌といった風が一般的。
羽が生えていたりするのは翼竜の一種でどちらかというと鳥の祖先といえる。
そう考えるとトカゲの姿で羽まで生えている竜は自然界にいないといってよい、手足が6本の竜はいないという事。
いた場合は魔法生物に他ならない、いわゆるキメラということになる。




