洞窟の中2
洞窟の中2
奴隷となった隊長が話し始めると数人が逃げ出した、それも計算済みのことなのであえて追わずに様子を見る。
「逃げても無駄じゃ、外には王国軍騎士隊が待っておる逃げ場は無いぞ」
「く くそ~」
「妾はマーシャ・オースティン・アルフレア、アルフレア王国第三王女じゃ、おぬしたちはわらわが責任を持って捕虜として扱う、もちろんそれはおとなしく従った場合じゃ」
「反抗的な態度をとれば隊長達のように奴隷として扱う形になる、逃げ出せば死ぬ可能性もあると覚えておくが良い」
「そんなこと信じられるか!」
「信じなくとも良い、命令を聞かねば無駄死にし隊長たちが悲しむだけじゃ」
「済まぬ皆、おとなしく従ってくれ、この姫様は強すぎる」
外見を見ただけでは解らない、たった7歳の少女が魔族の将軍に匹敵する強さがあるなど、人族より優れていると思っている魔族達、少女が言った事を信じるのは難しいだろう。
だがたった一人で魔族の隊長格を従え洞窟へ入ってきたのだ、その力は計るまでも無く下っ端の魔族達では相手になるわけも無い。
「今からおぬしらに隷属魔法を掛ける、これは後で解くから安心せよ」
「我が魔術の心意を受け入れよ、ディペンデンツマイハート」
約3名が逃げ出したが外には落とし穴そして騎士団と学生が待ち構えており逃げられるはずも無い。
マーシャと奴隷2名は一度外へ出て逃げた者がどうなっているか確かめた。
「あっ!戻ってきた~」
「逃げた魔族は?」
「下です」
そこには落とし穴から落ちて泥だらけになった魔族3人が上を見上げていた。
マーシャはその3人にも隷属魔法をかけおとなしくさせると穴から引きあげた。
(だから逃げても無駄だといったのに)
「これでよし、後は人質の救出じゃ見張りには我ら学生のみでも大丈夫じゃ、騎士団の方には中の人質を解放してもらおう、カバネルも捜索に加わると良い」
「はっ!かしこまりました」
人質の解放を待つ間、魔族の捕虜達から話を聞くことにした。
「姫様今度はどんな魔法ですか?」
「隷属の魔法じゃ、チャームよりは強力じゃが叩いたりすると術が解けるので気をつけるのじゃぞ」
「はい!」
「さて、これで今回の捜索は終わりじゃな」
「姫様これからこいつらどうするんですか?」
「この者達は一応人質じゃ、これより魔王国側と交渉するのじゃがその後どうなるのかはわらわもわからぬ」
「フロウラよおぬし達は魔石の採掘が主な任務だったな」
「はいその通りです」
「期間は決められておるのか?」
「期間は2ヶ月、月ごとに所属する部隊から魔石の運搬の為、連絡部隊が来る予定です」
「それはいつになる」
「2日後です」
「ではそやつらも待ち伏せして捕虜にしてしまうか?」
「……」
(この姫様は本当に人族なのか?、どう考えても普通の人には見えない)
(我々の考えが全て筒抜けだ、それに隷属の魔法…)
(私にかけられた奴隷紋の魔法はどう考えても普通の奴隷化魔法では無い)
(この事は出来れば本国へ帰って将軍に伝えないといけないのに…)
洞窟からは強制労働させれられていた村民や、ジンジャー領の騎士団そしてカバネルの父であるコバルト・ジンジャー子爵を無事助け出すことが出来た。
「姫様、救出して頂き誠に有難うございます、領主として深くお礼を申し上げます」
「ん 詳しくは後にせよ、皆疲れておるのだろう、まずはこの場所を離れよう」
「騎士団の方も村民の方もこちらへ」
回復魔法を使える女子達は手分けして怪我をしている者や著しく体力を失っているものに各種魔法を使ってこの場から移動できるようにしていく。
とりあえず馬車が有る空き地まで移動してそこで休ませることにした、いくら魔族の部隊が来るのが2日後と知っていても絶対に安全とはいえない。
少しでもこの場所から離れた方が、危険から早く遠ざけられるのだから。
「一息ついたら我々について来てくれ、少し歩くが食料もそこにある」
「急がなくて良い、もう安全だ」
「こちらです」
「リリアナよ全員が去った後は偽装の為、林を修復しておいて貰うがよいか」
「はい、足跡を消すのですねお任せください」
100人以上の人が通れば、必然的に道ができ下草は踏み荒らされ、そこを通って逃げたということがすぐばれてしまう、連絡補充部隊まで捕まえてしまえば偽装することもないのだが一応念には念だ。




