洞窟の中
洞窟の中
「マーシャ様~早いです~」フラン
「マジかよ」ジョシュ
「これほどとは…」騎士
マーシャはまるで風のようにブッシュの中を走り抜ける、本来ならば草を刈りながら進む道をまるで縫うようにスピードも落とさずに。
後ろを何度となく振り返り仲間の様子を確認するので、極端に離れることは無いが、あまりにも違い過ぎる。
大人の騎士でさえついてこれないとは思ってもみなかった、まあロドリゲスだけは数メートル後ろにいたのだが。
「マーシャ様!」
「おっとすまぬ、早く着きたくてな」
「はやる気持ちはわかりますが、これでは仲間との連携をとるのが難しいですぞ」
「確かに言われてみればその通りじゃ」
5k進んだところで小休止、ここまでで約2分。
数人は馬車の見張りとして残し、洞窟には全部で25人が参加した。
内訳は、騎士が10人学生が10人奴隷2名獣人2名姫1名の総勢25人。
「洞窟に着いたら入り口から3メートル手前に落とし穴を作る、これはリリアナに任せる。深さは昨日より浅くで良い、魔獣の類は召喚者がこちらにいる以上ないと言って良いのでな」
「残る魔族8人を捕まえてしまえば完了ですね」
「その通り、後は村人の救出だけじゃ」
「まずは妾と魔族奴隷の3人で向かう、逃げてくる魔族をとらえるのがおぬしらの仕事じゃ」
「まあ魔族のトップ2名がこちらにいる時点で、向こうは歯向かうこともないじゃろうが、油断は禁物じゃ」
「了解!」
先頭をマーシャと魔族2名その後ろを獣人騎士学生と続く。
マーシャはあと1kというところでサーチ魔法で見張り魔族の位置を探る、だが奴隷魔族の言葉通り見張りなどどこにもおらず。
「うぬ おぬしらなめすぎじゃのう」
「そういわれましても、1か月近く反撃を受けませんでしたので…」
確かにジンジャー領の領主と騎士部隊以降一月近く経ち、ようやく今回の調査が2回目というところ。
敵はこちらを甘く見ていたのは仕方のないところだが、そのせいで魔族は全員奴隷になる可能性がある。
今後の話し合いも魔族側にとっては、またしても不利になることは間違いのないところ。
「まあよい、こちらの有利に動けるからな」
マーシャが林の中から洞窟の入り口を覗き込む、洞窟の入り口にさえ見張りは立てていなかった。
洞窟の入口からは魔族の奴隷2名を前に立て、マーシャは後をついていく。
洞窟の入口はさほど広くはなかったが、中に入るにしたがってどんどん広くなっていく、この洞窟の中は最大で広さ30メートル高さ10メートルはある。
100メートルぐらい進んだところでようやく見張りの魔族と遭遇する。
「隊長お帰りなさいませ」
「ん 伝令を頼めるか?」
「はい」
「ここに全員を集めよ、すぐにだ」
「はっ!かしこまりました」
それから10分ほどで残りの魔族8人が集まってきた。
「これから全員に命令する、われらは今後ここにおわす姫様の命により人族の捕虜となった、命令を聞けないものは命を失う、おとなしくついてくるものには危害を加えないと誓おう」
「た 隊長!本当ですか!」
「くそっ!」
魔族が一人マーシャに襲い掛かるが奴隷となった隊長が立ちはだかる。
「すまぬ私はすでに奴隷となってしまったのだ」
そういうと胸のしるしを見せる。
「ぐっ!たいちょう~~」
「副隊長まで…」
「じゃあ魔石の採掘は?」
「ああここまでだ」
「それと姫様から全員に話がある」




