出陣前
出陣前
マーシャ達は宿舎として利用していた宿屋の1階にて朝食をとっていた。
持ち込んだ携帯食、と言っても干し肉や固焼きのパンを焼いたり煮たりして、畑で摘んできた野菜と共にスープにしていた、今回の旅では一番質素な食事をとっていた。
「マーシャ様申し訳ございません」
「想定していたことじゃ、構わぬ」
「でもこの食事はずっと続くとちょっときついぜ」
「まあ途中でイノシシか牛がいたら皆で取って食べればよい」
「昨日までの食事とこれだけ違うと、やはりめげますね」
「食べられるだけましじゃ、捕まった農民たちはたぶん食事もほとんど与えられておらぬのだぞ、我々がそんな贅沢をするわけにはいかぬ」
奴隷になったフロウラの方を見ると。申し訳なさそうな顔をして俯いていた。
もちろんマーシャは奴隷だとしてもちゃんと食事をさせている。
「姫様、町に10人残していきますので、出立は後30分後でよろしいですか?」
ロドリゲスが今後の予定を聞いてきた。
「うぬその前に一度しなければならぬことがある」
現在門は少し変更されている、先の戦闘で利用した堀や橋は馬車が通る幅もないので戦闘後すぐに堀は埋め、橋も現在は無い状態。
但し門は少し大きめに作り直し戸を設け、物見やぐらはそのままにしてある。
朝8時半
マーシャは一人その物見やぐらに上るとサーチ魔法を展開、案の定魔族の偵察隊とみられる反応があった。
(フロウラ様はどこに?)
遠くの茂みに隠れ門を見ているが物見やぐらに見張りがいることしかわからない。
昨日この町を襲って洞窟での魔石掘削作業に使うはずの人族を確保するはずだったのだが。
町には何事もなかったように道も門も壁にさえ戦いの後など何も無かった。
もちろんリリアナやマーシャが土魔法で偽装したからなのだが、それならばフロウラがどうなったのか、ジルには全く見当がつかなかった。
そうこうしていると真後ろから声がする。
「おぬしがフロウラの仲間か?」
「はいっ!えっ!」だ…だれっ!
マーシャは隠匿の魔法とハイディングでジルの真後ろまで近づき声をかけたのだ。
そして間髪入れず喉元を手でつかみ自分の顔の位置までジルの顔を引き寄せる。
その力にはどうやっても抗えなかった。
「ぐえっ・だれか…」
「おい!死にたくなければ正直に答えろ!」
「フロウラの仲間だよな!」
「は…い…」
「今から拷問をする、おぬしの足や手がぐちゃぐちゃになるが、良いか?」
ジルはブンブンと首を振る。
「じゃ奴隷になるか?二つに一つじゃ、どうする?」
少し間を置くと
「拷問を先に体験してみるか?」ニマッ!
それはそれは恐ろしい顔で金髪美少女がほほ笑む。
「どっ…奴隷でいいです~~」泣;
「なんじゃつまらんの~」
そういうとマーシャはジルに奴隷紋を刻む。
「汝の生殺与奪と引き換えにこの印を与えわが行動の助けとなす、我が奴隷として生きよ!」
マーシャの掌が光りだす、そのままジルの胸元へと手を当てると、天使の紋章が胸元に刻まれた。
「これで魔族2匹目ゲットじゃ」
ジルを引き連れ外から戻るとすでに出発の用意が出来上がったいた。
「フロウラ様!無事でしたか」
「ああだいじょうぶじゃ」
「魔族を捕まえてきた、又奴隷にしてあるから大丈夫じゃ」
「マーシャ様…」
「言わぬでもよい、妾の戦い方じゃ」
「は~もう慣れました」
「マーシャ様素晴らしいです」リリアナ
「すげーないつの間に?」
「全くわからなかったぜ」
「ハイディングの魔法だろう」
「俺もう姫様に挑むの辞めたぜ」
「いや俺はまた挑む」
「やめとけよ」
男の子たちは馬車に乗り込むとこれからのことを少し話し合う、そうマーシャには夏休みが終われば年内一杯試合の予定が入っていた、もちろん男子たちからの挑戦も含めて。
「姫様準備できました」
「それでは行こう」
「しゅっぱーつ」




