表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
61/461

一方洞窟で待つ魔族は

一方洞窟で待つ魔族は


「フロウラ様から連絡がないぞ」

「ああ遅れているな」

「ジル様どうします?」

「少し待とう、今行ってフロウラ様の足手まといになってもいけない」

「明け方になったら様子を見に行くお前たちは魔石の採掘を急げ」

「はっ!」

(まさかフロウラ様に何かあるとは考えづらいが、万が一のことはあり得る)


ジル・チュラキュアはフロウラととともに魔石採掘作戦の副指揮官として派遣されている。

魔石は魔法陣や魔法具を作成するためにはなくてはならない材料の一つ。

国内にある採掘場の魔石だけでは足りないため、過去に魔王国領内であったこの洞窟を利用し掘削しているのだが、人族たちを徴用して掘るのもなかなか時間がかかる。

今回連れてきた部下の中には土魔法の使い手が一人しかいない、ほかの採掘場にみんな取られてしまったため、たった一人の採掘専門魔術師しか確保できなかったのだ。

そうなると魔石の採掘にかかる時間は人の手による部分が大きくなる、この洞窟の魔石含有量は他の洞窟の半分程度。

そのためいくら人をこき使おうとも通常の3分の一の採掘スピードで、魔石の採掘作業は遅々としてはかどらない。

掘削用の道具は武器にもなるため、採掘には魔法を使い運搬や選別をとらえてきた人族にやらせてはいるが、慣れない人族にスピードを求めても無駄というもの。


この洞窟への魔石採掘指令は、はっきりいって失策に近い。

まあ経験を積ませるという事のみを考えればまるっきり無駄ではないのかもしれないが、これで魔族側に一人でもけが人や死人でも出ればこの遠征自体が無駄骨と化す。

召喚術師が2名いるおかげで戦闘を全て魔獣に丸投げできるから立てられた作戦だが、それがなければこんな無茶な作戦には誰も行きたがらないだろう。

これまでに集まった魔石は10kに満たない、魔道具に使用することができるレベル3クラスの魔石は1kというところか、後は魔法陣を書く材料にしか使えない。

すでに30日以上を費やしてこのレベルなのだから、頭が痛くなる。


「おい、ちゃんと見張っておけよ」


徐々に仲間の士気も下がってきており、洞窟内での掘削作業もあと数日で引き上げないと食料も底をつく。

この洞窟は100年前までは盛んに魔石の採掘がおこなわれていたが、すでにほとんど取りつくされていて作業に対しての見返りが少ない為、放置されていたものだが。

戦争の準備が始まり魔道具の作成に必要な魔石の需要が高まり軍の命令で再調査したところGOサインが出たというところ。

魔石がこの量であれば2度と採掘の命令は出ないだろう。


人質たちは


「おいどうすんだ?」

「やめておけ奴隷紋を刻まれたらさからえねえ」

「武器もなければくいものもねえ、むだなこたあしねえほうがいい」

「は~~早くかえりて~」

「死なねえだけまだましだ」

「おい!そこちゃんと仕事をしろ!」

「くそっ!いい気になりやがって!」

「よせ、むだだ」


とらえられた村人は78人、そして騎士団の団員が25人、残念ながら死人も40人近く出ているがそれでもまだましな方だった。

軍の命令は最初から人質を奴隷化し労働力として使う計画だったため生きたまま捕られたからだ。

ただの略奪行為だけなら全員が殺されていただろう。


魔石の採掘はそれほど難しくはない掘削作業と選別作業、壁を掘り岩を砕き黒や赤そして白などの色着き魔石を見つけたら岩の部分は捨てるだけ、本来金槌でたたいたりするが、この状況では岩石で岩石をたたき割ることで魔石の抽出をするのが関の山。

本来ならば魔法ですべて行う作業、土魔法ランク5以上あれば選別も簡単にできるのだが、人族の農民が行使できる土魔法はランク2が良いところ、土を混ぜたり耕したりはできるが選別となると少し高度な魔法となるため、捕らえられた人族にそこまでできる者はいない。

岩と魔石の選別は色で判断できるというところがまだましなところだが、暗い洞窟の中、魔法の光だけではそれもはかどらない原因の一つでもあった。


「副長そろそろ朝になります」

「ご苦労、では私は隊長の所へ行ってくる」

「は!行ってらっしゃいませ」


ジル・チュラキュアは召喚した魔狼の背にまたがると洞窟の外へと出ていく。

洞窟からボロウロア町までは70kぐらい魔狼のスピードは30kと言ったところか、約2時間と少し走れば町に着く予定。

魔族の副隊長はまさか隊長がやられて奴隷化されていることなどこれっぽっちも考えてはいなかった。


「隊長のことだまた仕事が終わって人族で遊んででもいるのだろう」


隊長であるフロウラの趣味は同性愛、と言ってもそれほどひどいものではなく同性であればかわいがり自分だけ興奮して楽しむだけ。

特に苛め抜いたりとか傷をつけたりとかまではしない、ちなみにジルもその相手だったりするので今回の連絡の遅れもたぶんそんなことではと思っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ