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長い夜が始まる

長い夜が始まる


ボロウロア町に魔物の遠吠えがこだまする。


「きた~!」

「全員戦闘配備!」

「弓が得意なものは物見やぐらにて弓を担当してくれそれ以外は壁のこちら側で待機」


騎士も学生も剣と盾を手に迫りくる魔物に備える、今回学生たちも自前の剣や盾は持ってきており、中には鎧や小手などの装備を持ってきたものも数人いる。

もちろんマーシャはそのような装備を一つも持ってきてはいないが、クレアは戦闘メイド用の棍棒を2つ用意してきている。


「あなたも戦うのよ」


フランはクレアから1.5メートルの棍棒を渡されびくびくしているが、彼女ができるのは自分の身を守ることぐらいであろう。

まあそれでもましな方だ、まずは自分が安全なこと、そうすれば他の者に守ってもらう事など必要がなくなる。

戦闘で一番大事なのがそこだ、他の者の足かせにならないことこそが一番肝心なのだ。


「フランおぬしはあまり余計なことはせずともよいが、いざというときは心せよ」

「は はい~」

「まあ 妾の予想だとそこまでひどくはならぬじゃろう」


「きたぞ~~」


物見やぐらから魔狼の到来の知らせが入る。

櫓の上にいる弓師が外に向かって弓を射る、マーシャは後ろのトーチカから門の前を覗くが迫ってきているのは今の所、魔狼が数匹。

前のトーチカにはリリアナが陣取っている。


「マッドバレット!」


リリアナはトーチカののぞき窓から前方の魔狼めがけて土の弾丸を発射する、土の弾丸は迫ってくる魔狼の頭に着弾し、一瞬目を土で覆われた魔狼はよろけて橋の横から落とし穴へと墜落していく。


(ギャン)


単発的な魔狼の突撃はほとんど弓師とリリアナが駆除していくが中にはそれでも門の中へと到達し、待ち構えている騎士と学生にやられて絶命する。


「そっちに行ったぞ!」

「そりゃ!」

(ギャウッ)


それから1時間、単発的な攻撃ばかりが続くが、事態は徐々に動き出す。


「ゴブリンがきたぞー!」


ゴブリン、小鬼と書くが鬼族ではなく魔法生命体の一つ、魔族が戦闘動物として自らの仲間である魔族の子供とネズミやイタチなどの獣を融合して作り上げた。

魔法生命体なので、魔法による増殖が簡単にでき、魔族の遺伝子を持つため人型との交配も可能な魔法生物。

魔狼と比べれば頭もよく、人と同じように訓練による能力向上も可能だという。

魔族の先兵としてよく用いられる。


「ギャギャギャ」


先頭のゴブリンが叫ぶと大量のゴブリンが門をめがけて突入してきた、その数100以上。


「うわ~きた~」


「恐れるな!ひきつけてから魔法を放てば半分以下にできるぞ!」

「はい!」


そういわれリリアナは得意の土魔法、マッドバズーカをお見舞いする。


「3・2・1・マッドバズーカ!発射!」

「ギャーギャー」


橋に見える通路は徐々に細くなっているため門に向かって突入してくるゴブリンは進むにしたがって半分が堀へと落下する。

門に到達できるのは横に並んでも3匹ずつだが、そこに幅50センチはある土で作った玉が転がってくる、まるでボウリングの玉のように。

強度を上げて作った玉の速度は弾丸ほどではないが時速にして50kは出ている、やや放物線を描いてはいるが真ん中から突入してくるゴブリンの顔めがけて発射されたため、そのゴブリンは逃げることもできずもろに球を全身で受ける、その勢いは衰えずその後ろにいるゴブリンも跳ね飛ばし、通路からは何匹ものゴブリンが堀へと落ちていく、まるでボウリングのピンのように。


(バキッ!グシャ!)


「うわっ!」

「すげー」


見ると先頭の数匹以外は橋の中ほどでほぼ戦闘不能に陥っていた、そしてこの状況を見てゴブリン達はようやく橋を渡るのが危険だと悟ったようだ。


「まあそうなるわな・」


それからはゴブリン達は数匹ずつが突入してくるようになったが、もちろんその数では門に到達する前にこちらの攻撃にやられるだけで、どんどんゴブリンの数は減っていく。

30分ほどそんな攻撃が続いていたが、その後ゴブリン達が一斉に引き上げていく。

数分後なぜ引き上げたのかが分かった。


トロルが現れたのだ、身長3メートルを超す魔法生物、動きはやや遅いがその力はすさまじく。

家や壁などは彼らの腕力があれば一発食らえば瓦礫と化すだろう。

戦うには、通常トロル1体に対して人族の戦士5人は必要だと言われている。


「でかいのが出てきたな」

「あいつらには弓も効かないぞ!」


「妾の出番じゃな!」


マーシャはトロルを橋の手前までひきつけ、聖攻撃魔法ホーリーランスを放った。


「神よ汝の力を権限せよ悪しき生き物にわが力を見せつけよ、ホーリーランス!」


光の槍はトロルの胸へ向けまっすぐに飛んでいく、図体ばかり大きいトロルは逃げもせず光の槍をもろに食らった。


「ゴアウ!」

(ズシャ!)


光の槍は後ろから来た3体も巻き込み強い光を放つと消えていった。


「す すげ~~」


光の槍に貫かれたトロルは4体最初の一体は胸に1メートルほどの穴を開けられ後ろのトロルは腕から肩をその後ろにいたトロルも腹を失い崩れていく。

残るトロルは後8体ほどだったが仲間がやられるのを見て足を止めた。


「なんで止まるんだ!すすめ!」魔族


その声を聴いたマーシャはトーチカから飛び出した。


「魔族か!」


すでに多くのスキルと魔法で身体能力を底上げしているマーシャはあっという間に魔族の元までたどり着き、首を締め上げた。


「おい!ごら!今すぐ命令しろ!」

「ぐ くるしい…」

「ころすぞ!」

(ひさびさのオラオラ言語ク~~)


マーシャの前には大人の女魔族、本来身長は180ほどあるはずが、首にめり込んだマーシャの手で引き下ろされ、地べたに座らされた状態。


「聞いてんのか!ごらっ!」

(パシッ!)

「は はい!」

「今すぐ手下を止めろ!」


「下僕よ我が命令を中止する!」


その言葉でゴブリンも魔狼もトロルも全部が動くのを止めていく。

マーシャは魔族に対してスキルである履歴スキャンを発動する。


フロウラ・ゾーヴィル

25歳

種族 魔族 サキュバスと羊獣人そして竜人のクウォーター

女 ゾーヴィル魔侯爵家長女 弟が2人いる(カウマン・ゾーヴィル20歳、グロシュ・ゾーヴィル15歳)

魔法術師 召喚魔法(魔法生物召喚中級)誘惑魔法(デバフ魔法全般)

ルルド洞窟魔石採掘部隊隊長

隊指揮官

魔法熟練度 160/200級

剣術     34/50級

小剣術    45/50級

槍術     44/60級

体術     87/100級


HP    500/1000 ヒットポイント(体力)

MP   1100/2000 ミッションポイント(マジックポイント)

SPD   198/200 スピード(足の速さ)

AGI    87/100 素早さ(敏捷度、魔法詠唱+補正)

AT     78/100 アタック(攻撃力)

MAT   227/300 マジックアタック(魔法攻撃力)

DF    409/500 ディフェンス(防御力)

MDF   545/600 マジックディフェンス(魔法防御力)

FA    155/200 フィンガーアクション(器用さ)

IT    119/200 インテリジェンス(脳力、頭の良さ)


魔法※火6水4土5風6聖1光1闇7無4

※聖魔法による能力疎外発生中、全体の能力値半減。

現在の悩み 殺される~ 命令なのだから仕方ない 早く帰りたい まさかやられるとは


「おい!」

「はい!」

「お前の受けた命令は?」

「……」

「抵抗しても無駄だぞ、おとなしくすべて話せ、さもなくば拷問だ!まずは足をずたずたに…」

「話します話しますから~~」泣き…


どうやらこの魔族は一応指揮官らしい、魔法特に召喚魔法を得意としているため今回の作戦に選ばれたという。


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