王様からの
王様からの
ここまでで伝えていないことがある、それは王家の王女であるマーシャがなぜこのような身軽な布陣で地方へと旅を続けていられるのか。
当然のことながら王様やお妃さまからの了解を得ているのは当たり前だが。
ではどうして本来年端もゆかない、王女の旅に了解などが出たのだろう……
それは10日前にさかのぼる。
「王様密書が届きました!」
「ん これへ」
「やはりそうか…元帥を呼べ!」
「王様、此度のことやはり魔族の陰謀でしょうか?」
「王妃よ、知っていても口には出さぬ方が良いぞ、この国の中にも魔族に与するものは居る、一度知られれば風向きにより危険は誰の頭上にも降りかかるのだ」
「そういえばわたくし夢を見ました」
「誠か!」
実は第一王妃は夢見というスキルを持っている、一種の超能力者 夢で見たことが本当になるという、一種の予知能力。
その夢の内容が実現するのは95%という、かなり現実的な数字だ。
だがそれが悪い夢の場合も当然ありうる。
「わたくし第三王女マーシャちゃんが魔族と戦い勝利する夢を見ました」
王族の中でマーシャの扱いは、好意的な見方がほとんど、それは外見もそしてスキルでも。
それに年上に対する言葉使いも、猫をかぶってはいるのだが、すべてがマーシャにとって好意的に扱ってくれている。
第一王妃もマーシャのことはすごくかわいがっており、マーシャに会うと追いかけて抱きしめようとするのだ。
だからマーシャはなるだけ王族には会おうとしない、そういうスタンスでマーシャは生活している。
だが第一王妃の夢見でマーシャの未来が見えたのであれば王は第三王女を呼ばざるを得ない。
「誰かこれへ」
「はい王様」
「第三王女マーシャを召喚する、明日までに会議室へ連れてまいれ」
この時はまだ夏休みの10日前というところ、同日に敵の情報それと魔王からの密書も届き、戦争をする時期は少し待ったがかかった状態。
だがハッキリとしない前線の情報、敵に回るのは誰で友好的なのは誰なのか?
さらに味方の中の裏切り者は誰なのか、何人いるのか?
密偵でさえなかなか知るのが難しい、そこへ第一王妃の夢見の情報。
実は第一王妃マーシャが生まれることも夢で見ており、マーシャが光の巫女だと言うことも分かっていたが、王様には「チョーかわいい王女が生まれるわ」とだけ告げた。
本当のことを告げると、彼女の扱いはかなり複雑で厳重なものになる、一目夢で見て気に入ってしまった第一王妃はマーシャをかわいがることができなくなる事を危惧し、事実を伏せてしまったのだ。
そしてそれは正解だった、実際に生まれてみると夢よりもさらにかわいいお人形のような女の子だった。
第2王妃の子ということではあったが、すでに夢見してから虜になってしまい、自分の娘より溺愛している。
だが今度の夢は魔族との闘いという、なんともショッキング。
勝ったところの画像とはいえ、マーシャが魔族と戦うなどとは思いもよらなかった。
だから王様も王妃もマーシャを使いに出す事自体をどうするのか決めかねていた。
「第三王女マーシャ・オースティン・アルフレア参りました」
「よくぞ参った、おもてを上げよ」
そこには王様と第一王妃第二王妃が並んで座っていた。
「マーシャよ椅子に掛けなさい」
「はい王様」
「その方に使いを言い渡そうと思う」
「使いですか?」
「ん そうだ」
「どのような?」
「ここから北の地で洞窟より魔族があふれ出たという、そこの領主が現在行方不明になっておる、その場へ赴き現状をさぐってはくれぬか?」
「…」
「あ いや 無理にとは申さぬ、いやならば他の者に任せよう」
マーシャはニカっとほほ笑むとこう告げた。
「第三王女マーシャ・オースティン・アルフレア、喜んで今回の辞令をお引き受け申し上げます」
「え~だめ~やっぱり無理~」
そういうと第一王妃がマーシャのもとへ駆け寄り座ったままのマーシャに抱き着く。
「お母さま、わたくしはこの世に戦いがあるならば、それを制するのが王族の務めだと思います、必ずや有意義な情報を手に入れ無事に戻ってまいります、それまで辛抱していただけますか?」
「え~いやいや~、なんでこんな夢を見たのかしら、私もいっしょに行く~~」
「お姉さま無理を言ってはなりませぬ」
第二王妃は第一王妃をお姉さまと呼んでいるらしい、もともとこの二人は親友だとのこと。
「私もついていきたいのですから…」
「マーシャちゃん本当に大丈夫なの?」
「お任せください良い知らせを持ってまいります、魔族が腰を抜かすような飛びっ切りのお知らせを・ネ!」バチコンッ!(ウインク)
実は抱き着いて一番ほおずりしたいのは王様だったりする、今にもそうしたそうに両手はワキワキしているが、王妃たちの手前それはかなわない。
(マーシャちゃん、かわえ~~あ~抱きしめたい~~)
変態王様とお思いだろうか、仕方のないことなのだマーシャのモテモテスキルのせいで3人共にデレデレなのだ、中でも抱き付けない王様が一番かわいそうなポジションなのだから。
ちなみにマーシャのおかげで浮気もできないという副作用もある。
可愛い娘に嫌われたくないということ。
実はこの時第2王妃は妊娠してたりもする、マーシャの鑑定眼にはそう映っていた。
(やった妹かな?弟かな?)
ローゼリア・オースティン・アルフレア
30歳
種族 人
女 現在妊娠中
アルフレア王国 第2王妃
魔法熟練度 110/200級
剣術 49/100級
小剣術 65/100級
槍術 33/100級
体術 147/200級
HP 1000/1000 ヒットポイント(体力)
MP 900/1000 ミッションポイント(マジックポイント)
SPD 47/100(+10)スピード(足の速さ)
AGI 46/100(+10)素早さ(敏捷度、魔法詠唱+補正)
AT 188/200(+10)アタック(攻撃力)
MAT 189/200(+10)マジックアタック(魔法攻撃力)
DF 276/300(+10)ディフェンス(防御力)
MDF 398/400(+10) マジックディフェンス(魔法防御力)
FA 176/200 フィンガーアクション(器用さ)
IT 197/200(+10)インテリジェンス(脳力、頭の良さ)
魔法※火4水5土4風3聖7光7闇1無7
加護※(王家の守り・一部ステータス+10)
過去の悩み 王様の寵愛 妊娠の可否
状態 妊娠中2か月目、つわりは無いが最近食が良く進む
1(マーシャのこと)
2(息子のリカルドのこと)
3(魔族との戦争)
王命を受けてこの後、夏休みの旅行という名目で特に何の障害もなく準備が進み、辺境の調査兼温泉旅行という、マーシャにとっては心待ちにしていた冒険の旅第一章が始まったのだ。




