城の中へ
城の中へ
潜入してすでに30分程度が過ぎた、中にいた兵士は殲滅し追加で現れた竜人兵も殲滅が完了したのだが。
そこから先に何の変化も現れることなく1分が過ぎた頃、城の中から悲鳴らしき声が聞こえてきた。
「ギャー」
「聞こえたか?」
「なんですかにゃ」
「拷問?」
「いってみよう」
3から5階建てのように見えた建物だが竜人たちが出てきた出入り口から、増援の兵士は止まったままだ。
これでは時間だけが過ぎていく、しかも中から叫び声のような物さえ聞こえてきた。
当然のことだが黙って待ち続けることなどできないと言って良い。
マーシャとカユーラそしてヨツマタは建物の中へ恐る恐る侵入していく。
「そんなに肌を摺り寄せるな、邪魔じゃぞ」マーシャ
「何時の間に」カユーラ
マーシャにはそれほど感じなかったエリア5のボスが出す魔気は、カユーラやヨツマタに恐怖と畏怖を与えていたようだ。
「足がすくむっす」
「あたいもにゃ」
「恐怖を与える魔法のようじゃ、おぬしらはここで待て」
ドアの手前で異常をきたした2人を待機させ、目の前の大きな扉を押しこんでいくマーシャ。
もちろん重力魔法でこじ開けていくのだが。
中で行われている行為はなかなかグロかった。
「ギャーグアー」
「まだまだだ」
「もう もうやめてー」
建物の中は広くまるでダンスホールの様な造り、入り口から階段を少し下がるように降りて行くとそこには異形の魔物と魔族とみられる数人の遺体?
まるで殺戮を行っているかのように見えるのだが、確かエリアダンジョンとはいえ死ねば最初の記録エリアに帰還するはずなので、目の前に広がる異様な光景は何らかの魔法によるところではとマーシャは考えた。
「まだまだ」
「ギャーシヌー」
「バシン!」
手に持っているのは鞭だろうか?しかも棘が沢山ついたやつだ。
よく見ると床に倒れている4体以上の魔族はまだ死んではいないようだ。
「今度は誰だ!」
「うむ もう終わったのか?」
「おーきれいな女だなー」
「そうか?」
「じゃあこいつはいいや、死ね!」
「ギャー」
「シュン」
どうやらマーシャ達の前にここまでたどり着いた者達がいたようだ。
後で誰が来たのか調べてみるとして、目の前にいるのは竜人いや鳥人のようにも見える。
嘴はとがっているのだが背には羽が見えているのに手足は人のそれ。
挑戦者とみられる魔族が殺されると、床に広がっていた惨状があっという間にクリアになって行く、5体の魔族はとどめを刺されたことにより死に戻るシステム。
(あの姿は擬態の様じゃな)
「お前が次の挑戦者だな」
「うむ そのようじゃな」
「もしかして女神の使いか?」
「おぬし分かるのか?」
「ああ あいつら俺らをこんな場所に閉じ込めやがって、もう2千年以上だぞ!」
「そうらしいな」
「いつでもかかってきていいぞ、すぐ死んでも詰まらねーから手を抜いてやろう」
「そうか後で後悔することになるぞ」
「口だけは達者だな」
「シュン」
相手が話しが終わると、一瞬でマーシャは拳を敵の顔に叩きつける。
「ドガン!」
「パラパラパラ…」
マーシャの一撃、もちろん手加減をしている。
そうしないと簡単に終わるそんな気がしたからだが。
壁には大きな穴が開きそこに倒れこんだ魔獣の口からは血が垂れてきていた。
まさか一撃でここまでのダメージがあるとは思っても見なかった。
「先ほどの魔族は偵察隊が捕まえてきたというところか?」
「ぐうう」
「おぬしがいたぶるためか、長い間閉じ込められれば楽しみが必要とでも言いたそうじゃな」
「どうせお前らは本当に死ぬわけじゃない!せめて俺の趣味に少し付き合ってもいいだろうが!」
「おお 変身が解けたか」
「な! 1発で解除されるとは」
鳥魔人に変身していたダンジョンの大ボス、その名はエリシエルなんと天空竜らしい。
普段の姿はもっと神々しい姿なのに、わざと悪鬼の姿や鳥男の姿をして冒険者をいたぶる。
だがマーシャのこぶしはそんな小細工など全て消し去り、本来の姿を吐露させる。
「我が名はマーシャオースティンアルフレア、女神アテナの使いとでも言っておこうか」
「ヤッパリ! また俺に何かさせるつもりか?」
「何もさせないぞ、おぬしが望むならな」
「は?」
「その前にちゃんとやろうと思わぬか?」
「その顔で、何故そんな言葉が、あーお前も変身魔法で姿を変えているんだろう」
「かもしれぬぞ」
「馬鹿にしやがって、神だか使徒だか知らんが叩き潰してやる!」
「グオー」
建物を壊しながらその姿をあらわにしたエリシエル(天空竜)一応聖竜の分類になるらしい。
やや黄色みがかった姿だが本来の色味は白とグレー、鱗が光を反射して黄色味がかった肌になる。
全長15メートルとやや首の長い竜種であり、その姿は流麗と評した方が良いかも知れない。




