ラストエリア
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扉を開けると目の前に広がっていたのは草原だった、その広さはかなりのもの。
100k四方が草原だったらどんな感じか想像できるだろうか?
しかも目の前の草原は平らなわけじゃなく、進むには坂を下りたり登ったり、かなり体力が必要な場所だった。
「ここは素直に直進するしかないのか?」
「もう少し歩くと向こう側の全景が見えるかもしれません」フロウラ
既に10kほど進んだあたりでひと際高い丘の上のような場所に出た。
そこからならば向こう側が全部見渡せそうだった、その手前までは緑の壁のように映っていたからだ。
「よっこいしょ」スウジャ
「え~ジジくさい」カユーラ
「なんで、俺何か変なこと言った?」
「外見からは分からない物じゃな」
一応、魔王国の住人は見てくれより年齢は2倍以上多めに見て間違いない。
スウジャの外見年齢は37歳ぐらいに見えるが、実年齢は55歳だったりする。
寿命の長い魔族の中ではまだ若い方、要するによっこいしょはまだ早いことがではないかとみんな思ったらしい。
「何か見えます」
「城」
遠くの方に建物が見える、しかもその作りは外壁に守られた大きな城にしか見えない。
「20kほど先か?」
「あ 何か出てきます」
よく見ると高い塀の周りにはお濠が有って、跳ね橋が下ろされているのが分かる。
そして中からは、まるで軍隊のような姿をした兵士が隊列を組んで出て来るところだった。
「あれってこちらに来るのでしょうか?」リリアナ
「それ以外には考えられんな」
「遠くて兵士の顔が見えませんね」
「トカゲ、リザードマンか」スウジャ
よく見ると完全防備の鎧を纏ってはいるが、お尻の部分から何かが生えているのが分かる。
「リザードマン?」
「竜族の劣化版ですね、進化の過程で取り残された種族だと書物にはありました」
その数1万の完全武装のトカゲ軍団、手には槍と盾を持ち。
中には魔法書のようなも物を手にローブを纏った兵士までいる。
「あの数と戦うんですか?」フラン
「そうしなければ進めないのであればそうなるな」
ちなみに仲間の中に軍隊との戦闘に従事したことがあるのはスウジャのみ。
マーシャの場合は一騎打ちはしたが、相手が複数の戦闘と言った意味合いでは初めてのことだ。
「全員初めてだと思うぞ」スウジャ
「おぬしは魔王の命令で王国軍と戦ったのじゃなかったのか?」
「言っただろ、おいらは先に敵の大将を叩くか斥候をつぶすのが役割だって、一応将軍の次の位だぜ、雑魚相手に戦うなんて面倒くさい」
「そう言えばそうだったっけ」カユーラ
暗部で行動していた時、カユーラ達への指令で何度かスウジャに同行したが。
殆どが情報戦と敵の斥候をつぶす作業であり、要するに全面戦争になる前の準備作業がほとんど。
戦争より暗殺のような作業が主な仕事だったりする。
「ガチンコであの数と戦うなんて無理な話だぜ」
「あの様子だとこちらも本来100人規模の軍隊を想定しているのでしょうか?」リリアナ
「それはあり得る、チーム戦と言うより軍隊の攻城戦を想定しておるのかもな」
こちらの人数は8人、ガチの戦闘では骨が折れそうだ。
マーシャの場合、今回は単純に魔法戦を仕掛ける形で突破するという考えでいるが。
それでもかなり苦戦を強いられることだろう。
軍隊であれば魔法職も攻撃魔法だけでなく防御魔法も使用する兵士がいるはず。
こちらがいくら魔法に秀でているとしても防ぐ魔法を多用されれば、相手の防御に阻まれ苦戦するのは分かり切っている。
「偵察に行くとするか…」
「わ わたし?」カユーラ
「いや妾が出る、一緒に来るなら止めはしないがな」
(行かないと活躍する場面が…)
「く~行きますよ」
「それなら僕も行くのにゃ」ヨツマタ
(ここでいいとこみせないとにゃ~)
「その前に適当な場所に拠点を作っておくとするか」
「拠点?」
まずはストレージからそこそこの大きさがある家を設置し、敵から見えないように幻影魔法で覆っておく。
そうすればいつでもその場所に出入りできるし隠れることも可能になる。
当然のことながら家の中には転移魔方陣を設置しておく、出先の任意の場所から移動可能にしてしまえばいい。
敵に見つかりピンチになった場合、転移魔法で逃げ帰ってしまえばよいのだ。




