洞窟の長い下り坂
洞窟の長い下り坂
冷やされたおかげでいつの間にか噴火まで収まっていた。
まあそういう設定だと言った方が早いが、そうでなければ誰も火山の中には入れないだろう。
洞窟の中は時折蒸気が出ている場所も見受けたが、殆どの壁はマーシャ達の魔法でかなり冷やされていた。
一行はどんどん緩やかな坂を下っていく。
「長いな」
「奥は結構深そうです」フロウラ
「冷えたおかげで足元の岩も固まっておるようじゃ」
たぶん今いる場所は本来壁も溶けていたのだろうと推測される。
溶岩が固まると軽石のようになる場合がある、踏みしめるたびに少し音が鳴るようだ。
「ガシュガシュ」
「ん?」
「行き止まりですね」リリアナ
「ここまで溶岩が来ていたという事か?」
「そうらしい」
「フレア」マーシャ
「主様お呼びですか?」
「お、また別の召喚獣か」スウジャ
「見るのは初めてだったか」
「主様もっと呼んでくださいよ~」
「召喚獣のフレアじゃ」
「おー」
「触ると火傷するぞ」
「おっと」
「この先行けるか?」
「壁の向こうは空洞みたいですね」
「ならば壁を何とかすれば大丈夫じゃな」
壁の向こうが溶岩で一杯なら、別な道を探すしかないが。
空洞と言うのなら壁を壊せば先に進めるだろう。
「今溶かしますね、少し離れていてください」フレア
「ゴー」
小竜とは言えそのブレスは溶岩を溶かすくらいなら簡単だった。
炎竜のミニチュアではあるが、そのスペックは普通サイズの炎竜とほぼ変わらない。
最大出力は1キロ先までを焼き尽くす地獄の炎を吐き出すことが可能なのだ。
今はその10分の一ぐらいの炎を絞って目の前の壁めがけて噴射している。
まるで高火力のバーナーで壁を切断しているかのように見える、どこからそのエネルギーが出て来るのだろうか。
「ゴー」
「向こう側に抜けました」
「ズズン」
「私が固めます」アクア
「シャー」
溶かした壁が真っ赤になっていたが、アクアの水流魔法によってどんどん冷やされ固まっていく。
向こう側もやはり同じような坂があり、その先は徐々に平坦な道へと変化していく。




