氷雪の次は氷河
氷雪の次は氷河
バンピールダンジョンのエリア3はフェンリルを倒しても転送魔方陣が現れなかった。
確かにエリア3の小ボスではあるが、フェンリルは前座でしかなかったらしい。
昼食を摂り一息ついたところでダンジョン攻略を再開したマーシャ達。
エリアの真ん中へと進んでいくうちにエリア3の本来のボスは寒さだけでは無かったことに気が付いた。
「まだ雪が続きますね」リリアナ
「さむいのにゃ~」
「もう少しじゃ我慢せい」
「あそこに何かいます」フロウラ
エリア3の安全地帯から40kほど進んだ場所から先には氷河が見えて来る。
そこからは下り坂のようだ、どう考えても普通に歩ける場所では無かった。
「浮遊魔法で行くしかないな」スウジャ
「全員手をつなぐのじゃ」マーシャ
「え~」カユーラ
「なんだよそんなに嫌か?」スウジャ
(しかたない)
8人がそれぞれ手を繋ぐとマーシャは浮遊魔法を使用し、高さは地上2メートルで移動できるようにした。
「おーさすが」
「手を離すな、落ちてしまうと面倒じゃ」
「はーい」フラン
地表は氷の塊が岩のように飛び出ており所々に亀裂が走っていた。
たぶんクレパスに落ちれば魔族とてひとたまりもないだろう。
まあ魔王国のダンジョンは魔法によって実際に死ぬことが無いので落ちたとしても入り口に戻るだけだが。
魔族の場合不死属性を持つ者はけっこう面倒だったりする。
死なないという事は凍り付きながらその場で身動き取れなくなるという事。
だから入り口で言われた救助保険などと言う物が必要になる。
渡された首輪には現在位置のわかる魔法と到達記録が分かる魔法がかけられている。
保険を掛けると数日後、一か所から動かない首輪を遭難者として認定するわけだ。
その後はダンジョンレンジャーが捜索活動に出るという。
エリアまで行って魔法の首輪に掛けられた魔法を遠隔操作することで転移魔法を始動させる。
そうでなければ助けるはずのレンジャーまで遭難することになるからだ。
「すげーな、あの割れ目底が見えないぞ」
「あれは何でしょう」リリアナ
「戦っておるな」
ここまでくるという事は少なくともフェンリルと戦闘したことはあるという事。
まあ逃げることでも回避できそうだが、ダンジョン魔物は行動範囲が決まっている場合もあるので、うまく逃げてきた可能性もあり得る。
だがそこで見た魔物は小ボス認定されているカイザーデビルだった。




