バンピールダンジョン
バンピールダンジョン
バンピールダンジョンはCクラスではあるが、割と簡単に挑戦できるダンジョンだと聞いている。
但しこのダンジョン、攻略するのにいくつかの注意事項があったりするのだが。
マーシャがこの地に訪れたのもダンジョンがあると聞いてきたからだ。
「バンピールダンジョンの攻略を許可してほしいだと?」
「そうじゃが、何か断る理由でもあるのか?」
「王国には見せられない場所もあるから私の一存では決められない」
「転用魔方陣の事か?」
「なぜそのことを」
「昨年の王国領襲撃に使われた魔物はダンジョンから転送されたものじゃ、すでに調べは済んでおるぞ」
「ハンクル様はそのことをご存じなのか?」
「別に何も言っておらぬがな」
「魔王様はなんと?」
「妾に一任されたぞ」
王国侵攻時に徴用された魔物はダンジョンで生成されたということは分かっていた。
何処のダンジョンなのかは分かっていなかったが、魔物のLVからするとそれ程高いクラスではないことも分かっている。
DクラスかもしくはCクラスではなかろうかというのが学院の研究結果で調査済み。
現在、王国側で詳しく内部情報が分かっているのは2つのダンジョンまでである。
マーシャが最下層まで攻略したダンジョンは既に各階層迄報告が済んでいるが。
バンピールダンジョンの攻略はまだ王国側に許可が出ていなかった。
まあ知られてしまうと魔王国の予備戦力を知られてしまうことになるのだから、断られてしまうのは当たり前だ。
だがすでにどこかのダンジョン魔物を戦時登用する方法があると分かってしまえば、隠すことに意味など無いと言って良い。
一部はマーシャや学生たちによって良い訓練相手になったことは確かである、逆にそれは戦争に使用できなくもないが実戦となると対抗策はいくらでも考えが付く。
「すでに私からも情報は伝えてあります」フロウラ
「元隊長が従者になっているとは…」
「こちらの方が何倍も待遇が良いのですよ」
「そうなのですか?」
「ええ」
(そういえば着る物も髪も以前とは大違いだ)
人狼族、その鼻は他の誰よりもよく利く、目はそれほど良くはないが。
匂いをかぐだけで健康かどうかぐらいはすぐにわかるのだろう。
それにフロウラやジルは軍部にいた時に彼らの上司にあたる地位だったのだから。
「分かりました、ただ…」
「他に問題でも?」
「現在 他の貴族が攻略中なので、中で何かあっても責任が取れません」
「それは構わぬ、誰も殺さぬしこちらに何があっても責任を取れとは言わぬよ」
「それならば私の名においてダンジョン攻略を許可いたします」
どうやらバンピールダンジョンには先客がいるらしい。
Cクラスダンジョンは魔族が挑戦するのにうってつけなのだろう、それにここのダンジョン最初の階層はゴブリンや魔狼といった。
簡単にやっつけることができる魔物が多く、初心者の経験を積む場所でもあるらしい。




