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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第7章 魔王対公爵
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苦の邪神

苦の邪神


魔公爵に入れ知恵をしてまんまとその体を魔物化することには成功した、そしていくらか苦のエネルギーも得ることができた。

だが、まさか冥界の魔物に変化した魔公爵をすぐに制圧してしまうような、そんな生き物がコロシアムにいたとは考えも及ばなかった。

天界にいる神にはそれぞれ役割があり、神によってある程度の方向性が有ることは神も知っている。

自分達もその性によっていろいろな味付けがなされているのだ。

苦の邪神という肩書は、生き物の苦しみもがくエネルギーを糧に活動することを許されている。

苦しみがあることで生きる喜びを知ることができる、楽しみと苦しみは表裏一体という事。

苦の邪神が活動しているのは、自分の糧となる苦しみが弱くなっていることに対抗するためでもある。

このままではいつか自分自身が不要の神になると感じているのかもしれない。


(うまくいくと思っていたのに…)

(まさか女神の手先が出しゃばって来るとは思わなかったぞ)

(どうした?)呪いの邪神ダーク

(失敗したぞ!)

(それは良かったな)

(良い分けがあるか!)

(我らは邪神、敵対する者がいて初めて存在が許されていると言うもの、邪魔されて当たり前だ)

(お前は何もしないのか?)

(いいやすでにいくつか手を打った、すでに我が使徒は魔王国を混沌に陥れるために活動を始めている)

(俺にもやらせてくれ)

(構わないが、あまり手を出すと他の神が黙っていないぞ、こういうことは分からないように隠れてするのが面白い、そうだろ)

(そうそう、焦るなよ果報は寝て待てというだろう)怠の邪神ジャクル

(いつも寝てばかりいる奴に言われたくはないのだが)

(功を急いで聖なる呪いをもらうことも無いだろう)

(うるさい!)

(ところであの娘は今期の神候補で間違いなさそうだな)呪の邪神ダーク

(そうなのか、あれがお前の言っていた神候補か)

(そういうこと、邪魔されても怒らぬ方が良い、我らも敵が居なくては存在できぬ立場だからな)

(だが自分の作戦が邪魔されるのは、やはり悔しいではないか)

(それならば次はもっと敵に対して苦しみもがき懲らしめる、そうできるような策を練ればよい)

(確かに)

(楽しみはまだまだこれからだ)


まさか邪神も通常の神と同じぐらい沢山いるとは思っても見なかった。

どこかの国の信仰、八百万の神という考え方は正しい、昔の人はどんな物にも神が宿り。

現世で生きている生物に様々な恩恵を与えるとともに、同じぐらいの苦難も与えるという。


(あの娘に挨拶せぬまま去るのか?)

(以前お前が挨拶したんだろう)

(ああ、だが少しだけだったからな)

(俺は他に使えそうな駒を探しに行く)

(そうかまあがんばれ)

(ふん!)


ここは天界にある異次元空間、まるで雲の上のような地面に綿菓子のような家具がいくつか設置されており。

目の前には大きな画面が一つ、それを使用して地上を盗み見ることができる。

彼ら邪神は普段、下界の様子を見るだけで直接手を下すことなどはほぼ無いのだが。

平和が長年続くと下界に手を出す許可が下りるらしい、数とか期間とかは定められていない。

神が放って置くとたまにやりすぎて地上が全て焼け野原になることもあったりする。

だから最近は安定化計画と称して下界に使徒を送り、神は下界の情報を得るようにしているらしい。


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