負け?
負け?
魔公爵はあの試合を振り返っていた、魔王国の王都にある別邸には現在魔公爵とミストル。
そしてミストルの従者2人と執事がケガによってベッドに横たわる公爵を心配そうに見ていた。
「まさかこのようなことになるとは…」執事
「あなたは知らなかったのですか?」ミストル
「存じておりません、そういえばたまにブツブツと独り言をなさっていたことがありましたが…」
「う うう」
「お目覚めです」
「ここは」
「魔王国の王都にある別邸でございます」
「私は負けたのか」
「いいえ、試合は魔物の出現で無効となりました」
「いっ!」
起き上がろうとする魔公爵だが、神経はズタズタに引き裂かれほとんどの骨にひびが入り。
筋肉繊維は魔物に変身する際の膨張により半分以上が切断されていた。
生きていること自体が不思議なのだ、まだ生きているのは竜人族のスキルによるところが大きい。
「今は安静にしていてください」
「父上、今回の事、私はある者の仕業ではと思っています」
「あるものだと?」
「ええ」
「おぼろげに覚えている、光るような人の姿 あれはなんだ」
「分かりませんが、私が原因を探ってみますので今はご無理をなさらずに」
「そうです旦那様、まだ傷はいえておりません」執事
「父上を頼みます」ミストル
「かしこまりました」
ミストルは考えた、魔物に変化した姿はあの王国の第三王女が原因なのではと。
そうでなければ魔王が吹き飛ばされてすぐにマーシャが乱入してくるわけがない。
そうでなくても何らかの事情を知っているはずなのではと。
「バタン」
「調べに行くわよ」
「会われるのですか?」
「今なら魔王城にいるはずです」
「あなた方も知りたいことがあるでしょう」
「はい」
「一緒に行きましょう」
一日が過ぎようやくロディトル魔公爵は目を覚ました、全身包帯で巻かれた姿は痛々しいが。竜人族ならばこのような状態でも数日過ぎれば完全に復活するだろう、但し今回のことで数年寿命が短くなったかもしれない。
「どう言って謁見するのですか?」
「知りたいはずよ、父のことではなく私と話をしたいはず」
もちろんミストルもマーシャから聞きたいことがある、エルフ族のこともだが。
それよりも知りたいこと、何者なのかということを。
魔獣が駆る馬車に乗って魔王城へ、もちろん誰もが簡単に魔王に会えるなどということはない。
門番に言って謁見を申し出る、すでに従者にはその旨伝えてあるため後は許可が出るかどうかということだけだ。




