鑑定眼で見る
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その魔牛は元々奴隷だった、鑑定眼のスキルによって読み取ることができた情報には。
元兵士であり犯罪逃亡した牛魔族のなれの果て。
買い取られて食肉になるのは目に見えているが、別にこの奴隷を助けようとは思わない。
それは犯罪係数という数値が80%を超えていたからだ。
助けても再度犯罪を犯すことがある、そのような者をわざわざ助けてやる義理も無い。
「200G」
「210G」
「…他にいないか?」
「シーン」
「210Gでそこの方落札!」
「やった」
首に嵌められた魔法具の力でどんなに大きな動物も逃げ出すことも無く従順になる。
「ここはオークション広場だ、毎日正午から5時まで取引が行われる」
「収益は?」
「4割が領主の懐に入る、1割が私の取り分だ」
「あれは元奴隷じゃな」
「なぜわかった?」
「鑑定すればすぐわかる」
「まさかそれを阻止しに来たのか!」
「奴隷売買全部をな、食肉用の家畜ならば別じゃ」
「おいどこに行く!」
オークション会場の裏には大きな倉庫がある、その中には30頭以上の還元魔族が首輪をつけられ出番を待っている。
そして本日の出番が無かった奴隷たちもそこにいる。
マーシャは全ての還元魔牛を鑑定してみた、そのうち3割程度は奴隷ではなく。
騙されて連れてこられた魔族達、そしてマーシャは当然とばかりに解除魔法を唱える。
「トュルーフォーム、アンドリリース」
「何をする、やめてくれ!」
「シュワー」
「なんだ?」
「元に戻ったわ」
「助かったのか」
「ふざけるな!」
「妾の名のもとに無罪放免じゃ、何か文句があるか?」
「グググ…」
さらに奥へと進んでいくと、そこにもいくつもの檻が。
「ふむ、鑑定」
「あの檻とそこの檻もか、解放じゃな」
「ま まて やめてくれ、俺は殺される」
「大丈夫じゃ公爵には伝えておく、犯罪奴隷以外の売買は辞めるようにな」
とは言っても今までの稼ぎが突然無くなってしまうのだ、奴隷売買自体を止めることがすぐにできるかどうかは分からない。
「おぬしには選択肢をやろう、妾に従うのなら公爵にも手出しできぬようにしてやろう」
「そんなことできるわけがない!」
「信じぬか?」
「当たり前だ」
「それじゃ一度天国に行ってみるか?」
そういうとプロロスは自分が殺されると勘違いしたようだ。
「え?まてまて、それは時期尚早だと思うが…」汗
「ならば言うことを聞くか?」
「うんうん」
「本当はおぬしを下僕にはしたくないんじゃが、まあ公爵をとっちめてから解放してやろう、但し悪事は全てご法度じゃ」
「我が下僕として生きよ」
「シュワワ」
「え?」
「手の甲を見て見なさい」フロウラ
「姫様の印がある間は死なないから」ジル
(おいおい、そんな魔法があるかよ)ドッゾ
(あるのよ)ジル
(え~)
今までにも数人を下僕(使徒)にしてきた、但しこの魔法は本人の命を守ってはくれるがその反面攻撃もできなくなってしまうので、本来の使徒として仲間になった場合は解除することになる。




