カントムの町
カントムの町
サザラード領に入り100kほど進むと大きな町が見えてきた。
サザラード領では2番目に大きな町らしい、この町から転移魔方陣を使用して魔王国の中央コロシアムへ行く予定なのだが。
「キキキー」
「ついたか」
「開門!」
「降りろ」
「姫さん、注意したほうがいい」
「忠告か?」
「ここの管理官は町に入るやつ全員奴隷化するって話だ」
「分かった、フフフ」
(え~笑うとこか?)
機工車を降りて衛兵に促されるまま進んでいくと、いかにも町の管理官と思しき魔族が数人の兵士を連れてやって来る。
「お前が王国の姫とやらか?」
「無礼だぞ!」フロウラ
「お?龍魔族のクォーターか!」
「死にたいようじゃな」
「なんだと!」
「我が魔術の心意を受け入れよ、ディペンデンツマイハート」
「な!体が動かん」
「何をした」
この町の管理官を手下ともども隷属魔法によって動きを縛る。
「我が名はマーシャオースティンアルフレア、アルフレア王国第三王女じゃ」
「頭が高い!控えなさい!」
「は ハー」
隷属魔法と同時にその周辺に対して威圧スキル迄発動する。
どんな魔族であろうとマーシャより魔力が無ければその威力に抗えない。
「この町を姫様に案内しなさい」フロウラ
「ググ」
「無駄よ、死にたくはないでしょ」ジル
「管理官!」
「う ぬぬ 抗えぬ、従おう」
外見は羊魔族と思われる頭には少し曲がった角が2本、そして瞳の中央が円形では無く楕円形なのが羊魔族の特徴。
「まずはお前の得意な仕事場に案内しなさい」フロウラ
機工車をストレージへとしまい込み、この町の管理官と共に町の中央部へと進んでいく。
はっきり言って町の雰囲気は超暗い、行きかう町民は全員首輪をはめられており。
兵士以外は全員が奴隷と言っても過言ではない。
「奴隷市場」
町の中央にはソコソコ大きな広場があるのだが、そこでは連日奴隷のオークションが行われているようだ。
「ただいまよりこの町特産、還元魔族の魔牛入札を行います」
「おー」
「ようやく本命か」
「還元牛はうまいらしいぞ」
元牛魔族を魔法で魔牛にして売りさばく、原材料は奴隷落ちした魔族やさらわれてきた魔族。
牛魔や猪魔以外はそのまま奴隷としても取引される、要するに肉として食用できる魔族とそうでない労働系魔族を選別してオークションを行っているらしい。
そしてオークションの目玉が還元牛魔族→魔牛ということらしい。
「まずはこいつだ」
「おー」
その魔牛は全長6メートル高さ3メートルほどもありそうな黒い牛。
通常の魔牛と違うところは顔の形と鼻の位置、そして短くなった五本の指だろう。
「ウモー」
「まずは100Gからだ!」
「105G」
「110G」
「120G」
セリが続いていくがマーシャはそれを黙ってみている。




