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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第6章 もう一人の転生者
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避けられない戦い

避けられない戦い


町の中央よりやや北側にある大きな建物、以前はこの町で奴隷業を営んでいた奴隷商人の屋敷だ。

1週間前、この領を治めているジャベリン伯爵が王国に攻め行って捕まってしまったという情報が流れた。

その情報を聞いてすぐに行動を起こしたのはこの地域で盗賊を生業にしていた魔族たち。

ダガラス領を守る伯爵がいなくなれば誰がこの地を守るというのか?

王国の大会を耳にして利用しようと考えたのはサザラード公爵だが、その計画のほとんどはジャベリン伯爵が立案しものだ。

だから、失敗した後のことまではサザラード公爵も考えてはいなかった。

失敗しても自分の領が増えるだけ、そのうち自分が行って領地化すればいいだろうと、そのぐらいにしか考えていなかった。

だが盗賊は鬼の居ぬ間を狙いこの町を乗っ取ることにした、後に自分たちが討伐されようとも目の前にぶら下がるおいしそうな果実を取らずにはいられない。

町の管理官を捕まえ金を少々つかませ脅しをかける、命が惜しければ魔盗賊の言うことを聞くしかない。

そうやって彼らは町を丸ごと手に入れてしまった。

町がそういうことになっていたという知らせは、サザラード公爵の住む館へも届いていた。

話を聞いたミストルは従者にしたエルフ族と先日まではダンジョン攻略をしていたが。

同時に従者になったエルフ族の仲間を探していた、それはいつかエルフの国を自分の支配下にするためである。

エルフの里(国)は現在ダークエルフの領となり、彼らハイエルフはほぼ全員が奴隷として売られる羽目になったが。

その数人が奴隷となりこのダガラス領の町にいるという噂を聞いていた。

盗賊に荒らされる前に情報だけでもとボールドの町へ来てみたが、そこには盗賊だけではなく王国の第三王女マーシャが来ているとは思わなかった。

もちろん2人ともに面識はなくこの町で初めて出会ったのだが、マーシャには鑑定魔法の上級版。

精密鑑定のアナライズというスキルがある、これは魔法でも可能だが。

マーシャの場合はスキルを使用することで相手の情報をほぼ全て手に入れることが可能だ。

しかも索敵と合わせて使用することにより半径100メートル以内であれば誰よりも先に相手の情報を手に入れることができる。

だからミストルの顔を見たとたんに捕食スキルを起動させた。

だが一つ確実に得られなかった情報があった、精密鑑定でも神が関わった情報には確実に判明できない物がある、実は神と言っても色々な神がいる。

邪神もいれば女神もいるのだから、男神もいるし大神ゼウスや犬神(動物の神)もいる。その部分に表示された〇の意味が何を意味するのか。

精密鑑定でさえ表示されない言葉とは。


「姫様ここは退却を」カーリナ

「分かったわ、テレポート!」

「シュン」


一瞬で3人の魔族が姿を消した、どこに移動したのかはわからないが。

テレポート、瞬間移動魔法を使えるのだから魔法力は上級以上に違いない。

敵か味方かは分からないにしても転生者であり、あのスキルを持っていたとなれば、マーシャ(晴乃香)のスキルが反応しない訳がない。

だが、その相手の情報に少し分からない部分があった、それは因縁の相手が自分と同じ神の従者かもしれないという事。

女神からは邪神によって自分とそして彼女(白井)が罠にはまったということだったが、ミストルの情報には邪の文字が見当たらなかった。


「逃げましたわね」アマンダ

「一応、仕事は完遂できたようじゃ」

「仕事?」

「こちらの話じゃ」

「いったい何だったのでしょう」

「あの3人ただ物ではなかった」フォルダン

「2人はエルフにゃ」

「おい」盗賊

「一人は公爵の娘で間違いありません」フロウラ

「おい」

「何をしに来たのか…」ジル

「おーい」

「なんじゃ」

「無視するな!これ 何とかしてくれ」


盗賊の親玉もミストルの氷魔法を回避することはできなかったようだ。

氷魔法の上級版だが、細胞を殺さず動きだけを縛る。

極寒の冬に金属を触ると皮膚がくっついてしまうことがある、魔法を足と腕だけにターゲットを絞り放つ。

その精密さはリリアナに匹敵する。


「どうするのにゃ?」ヨツマタ

「一応話は聞いておこう」

「マジックキャンセル、ヒール」


魔盗賊の統領、そこそこ頭は回るようだが。

町を一つ手に入れたとして、その先どうするのかはあまり考えていないようだった。


「では我らが来る少し前か?」フォルダン

「ああ、おかげで助かったぜ」

「まだ無事だとは言えないのじゃがな」

「え!」

「親分、この方は王国の第三王女様ですよ」

「あのじゃじゃ馬か…」そう言って口をふさぐ

「お仕置きを望んでおるのか?」

「滅相もない!」

「魔王国じゃ姫様の事をそう噂されているんでさあ」

「次はございませんよ」フロウラ

「それで?」

「エルフの奴隷を探しているって、言ってたな」

「エルフの奴隷…」


逃げられないように魔盗賊の親分にも隷属魔法を施す。

本来ならば神の使いであるマーシャの下僕にはふさわしくはないが、下手に騒がれて邪神の手下にでも捕まれば。

この先の仕事が面倒なものになっていく。


「こちらです」


建物の奥の方にはいくつもの檻や籠が所狭しと置いてある。

殆どは既に売り飛ばされたのか、開いている籠が目立つが、エルフのような高価な奴隷は既にその場にはいなかった。


「いないようだな、ついでだから全員解放してやろう」

「うそだろ!」盗賊

「嘘ではないこれよりこの地域では奴隷の売買は禁止じゃ」

「残念だったにゃ」

「真面目にはたらいたほうが良いぞ」フォルダン

「解放!リリース」

捕らわれてた奴隷は数十人、ほとんどは獣人の奴隷であり。

罠にかかり売られてきたものがほとんどだ。


「ありがとうございます」

「後は頼む」

「あいにゃ」

「お任せください」ジル


獣人の半分は猫系と犬系なので故郷が無事であれば帰ることができる。

他の獣人はというと、マーシャの魔法により回復してから、彼らの意向を聞いてみる。

その結果、なんと全員がその場でアルフレア王国への移住を希望した。


「一度戻ってこの者らの進退をどうするか決めた方が良いかもしれぬな」

「そうね、気になることが増えましたものね」


多分アマンダもアナライズを使用してミストル達を探ってみたのだろう。

同じ転生者ならば、敵か味方かを判断できないまま先へ進むのは得策ではない。

アマンダとマーシャの間柄も今は良好だが、魔族の転生者ともなるとその危険性はまるで違ってくる。

同じ国の王族同士でさえ敵味方どちらになりうるのか慎重に探ってきたのだ、魔王国の公爵令嬢が記憶持ちの転生者であるのならば警戒するに越したことはない。


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