潜入
潜入
機工車に乗り込み隷属した盗賊に道案内をさせるマーシャ、隠蔽魔法で姿は見えないが、それは普通レベルの魔族に限ってのこと。
魔法のレベルが上級になればそれらの魔法を看破する事などそれほど難しくなかったりする。
「姫さん見えてきたぜ」ドッゾ
「ここからは徒歩じゃな」
「皆さん降りましょう」アマンダ
「キキーシュー」
機工車から降りてストレージへと収納する。
途中から加わった盗賊の道案内を受け、ダガラス領の町であるボールド。
町は盗賊に支配されているはずなのだが、さほど荒れてはいない様子。
マーシャ一行は旅の魔族という肩書で、町への侵入を試みる。
「北」
「南」
「手土産は?」
「こいつでどうだ?」
「銀貨か、まあいいだろう 7人か多いな…」
「分かったほら」
「チャリン」
銀貨3枚はさほど高くはない、だがこの町は現在盗賊に支配されている。
門番も盗賊の一味であり、ドッゾが交渉しなければ最初から魔盗賊との戦闘は免れない所だった。
「行きやしょう」
「あんた割と使えるのね」ジル
「おいらを何だと思ってやがる、これでもいくつかの死線は経験してるんだぜ」
「そうにゃのか?」
「じゃなけりゃあんなところに一人でいないだろ」
「そういやなんで一人?」
「決まってらい、お宝だよ、あんたらのせいでこんだけしか見つからなかったがな」
そう言って巾着袋から金貨数枚と銀貨数枚を手に取る。
「そりゃ悪いことしたのにゃ」
「これも運命じゃな」
「そういうことにしておくよ」
マーシャとアマンダそしてフォルダンは現在粉飾魔法で魔族に変装しているのだが。
どうやら門番にばれない所を見るとうまくいっているらしい。
「店もあるな」
「どうやら魔盗賊の統領はうまいこと町を手なずけたらしい」フォルダン
何処も破壊された様子は無く、町の有力者と話し合いで解決した様子だ。
町の中は町民と盗賊が笑いながら話をしており、誰が市民で誰が盗賊なのか分からない。
「おぬしらの親分はどこじゃ?」
「この道の先にある少し大きな建物にいるはずだ」
それほどたくさんの人がいるわけではなさそうだ、町の住人は500人程度。
子供も女性もいる街で好き勝手しているわけでもなさそうだ。
だが数日すれば物資が滞り食料が不足してくる、その先は本来の盗賊稼業へと戻っていくのだろう。
「あの建物か」
「ああ、奴隷商人がいた屋敷だ」
その建物の前には本来数人の盗賊が外を見張っているはずなのだが、なぜだか誰も見張りがいないだけではなく。
見張りと思しき盗賊が一人地面に伏していた。
「なんじゃ」
「おい どうした?」
「ヒール」
「ミス ト …」
「だめだ、気を失ってら」
「とりあえず中に入るぞ」
「行きましょう」
「まじかよ」ドッゾ
普通ならその状況を見て他の仲間を呼ぶだろう。
だがここにいるのは最強の王族、マーシャは屋敷の入り口からどんどん中へと入っていく。




