魔盗賊のねぐら
魔盗賊のねぐら
初日から面倒な仕事ができてしまったが、この後彼らのねぐらに行ってみるとまさかの事態に巻き込まれてしまうとは。
そして彼らのねぐらにはもう一組の人物が待っていた。
「これは、これは、きれいな娘じゃねーか、どこから迷い込んだ?」
「わが名はミストル、ミストルグラディサザラードよ」
「公爵の娘か!」
「サザラードの姫様がこんなところに何の用だ?」
「えーと奴隷を見つけにかな?」
「ははは、一人でこんなところに奴隷探しかよ」
「おい、この娘、結構いい体してるじゃねーか」
「待て待て、侯爵様の娘は確か氷変のミストレルとか言われているはず」
「なんだよそれ」
「足りない頭に教えてあげるわ、ミストレルていうのはね冷たく乾いた北風を意味するのよ」
「だからどういう意味だよ」
「しょうがない、その体で覚えなさい」
「吹き荒れろ氷の刃!」
「ビュー」
「う 凍る…」
「分かったかしら、そちらの方は?」
「分かった、それで奴隷って、ここらにゃそんな奴はいねえ」
「ここは魔王国最南西部、ダガラス領よね」
「ああ、そうだ」
「あなたたち盗賊?」
「ジャベリン伯爵が王国につかまったと聞いたんでな、俺らが代わりに支配しているってわけだ」
「そう、ならば今日から私がこの領の主よ」
「おいおい冗談だろ」
「冗談じゃないわ、それとも私に逆らってみる?」
公爵の娘、その噂は聞いている氷のように冷淡で、微笑みながら逆らった魔族の四肢を切り刻む。
目の前のきれいな娘がその本人であるとは、魔族でさえそのギャップに騙される。
「ま 待ってくれ、そういえば町の外れに奴隷商がいたはず、だが今は俺ら盗賊が仕切っているが…」
「連れて行きなさい、逆らうと死ぬわよ」
「わ わかった」
そういうと先頭に立ち盗賊は歩き出す、するといつ現れたのか物陰から2人ほどミストルの両側に新たな影が加わった。
「姫様どうやらこの町は既に盗賊が支配しているようです」
「分かったわ、どうせだから私の物にしてしまいましょう」
「かしこまりました」
探しているのは奴隷、いや奴隷に落とされたハイエルフ。
そしてミストルに付き従っているのは、フォレストランドの王族であり現在はダークエルフに乗っ取られた国の王族の一人。
そしてもう一人は同じくエルフ族の攻撃部隊所属アマゾネスの従者である。
「まあいいわ、そこにいなくても足取りは見つけられる」
「はい姫様の仰せのままに」
どうやらミストルは奴隷を探しているようだが、果たして盗賊に乗っ取られた町で探し物が見つかるのだろうか。




