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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第6章 もう一人の転生者
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魔盗賊

魔盗賊


その検問所は丘を切り崩して立てられていた為、手前の丘からは見ることができない。

すでに壊されているのか、煙と言ってもくすぶっているぐらいで襲われてからすでに半日以上は経っていそうだ。


「それ以上近づくな!」


それは検問所より高い位置から聞こえてきた。


「シュン」

「それは妾に言ったのか?」


声のする方へ瞬間移動したマーシャ、数百メートルはある距離を一瞬で移動する、まさか自分の真後ろには誰もいなかったはず。


「フリーズ」

「うっ」

「おぬし何者じゃ」

「…」

「ほう、話さぬか?」

「姫様私にお任せを」ジル

「お前…」

「わが名はジル、吸血鬼の末裔、すべて話さなければ死ぬより苦しい罰を与える」

「や やめてくれ、分かった、分かった話す!」


ハーフドラキュラとはいえ偵察部隊の副隊長という地位は伊達じゃない。

しかも現在はチームマーシャで修行をしたおかげで以前とは比べ物にならないぐらい各種の能力は上昇している。

その一つが魔眼と言われている相手の心を見透かし操る力。


「おいら…」


魔盗賊の一味、名前などは無く、通り名は(夜逃げのドッゾ)と呼ばれている。

人をだますことばかりしていたが、ばれるとすぐに逃げることからついたあだ名だ。

その逃げ足を買われて魔盗賊の一味に加わった、だがそれも年貢の納め時か。


「150人だと!」

「かなり多いな」

「多分、ジャベリンが捕まり制御が利かなくなったのを良いことに、やりたい放題と言ったところじゃな」

「俺はただの使いっぱしりだ、ここに残ってまだお宝が無いか探してるだけだぜ」

「どうします?」フロウラ

「一応奴隷にしておくか…」

「え!嘘だろ」

「少しの間だけじゃ、終われば解放してやる」

「嘘じゃないよな!」

「本当じゃ、終われば少しじゃが褒美も出してやろう、断れば死ぬだけじゃ」

「分かった、どうにでもしてくれ」

「汝の生殺与奪と引き換えにこの印を与えわが行動の助けとなす、我が使徒として生きよ!」

「シュワー」

「え え え なんだ これ」

「当分の間、妾の従者として行動してもらう命令は絶対じゃ、それと先輩従者にも逆らわぬようにな」

「おめでとう、それじゃ早速仕事よ、あなたたちのねぐらは何処?」フロウラ


取り敢えずこのまま放って置くといずれ魔盗賊は勢力を増して、王国側へと手を伸ばしてくるだろう。

魔族側に勢力を伸ばすより王国側へ勢力を拡大した方が楽に簒奪できるからだ。

ならばここでつぶしておく方が世の為人の為だろう。


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