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転生した王女はとんでもなかった(天使の過ちは丸投げです)  作者: 夢未太士
第6章 もう一人の転生者
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魔王国との国境線

魔王国との国境線


北の砦とは違いこの場所には荒野が続いている、王国の北西部には未開の土地が多く存在する。

この土地が開墾できないのは地面に岩が多く植物を育てることができないためだ。

標高もやや高いのだが、この場所は山というより丘が連なって、道はアップダウンが数十キロ以上続いている。


「ここからは馬車で進むのが難しい、岩が多いせいもありますが馬では歩くより時間がかかってしまうでしょう」

「そうか、ではここから機工車の出番じゃ」

「次の丘の上に番屋があります、その1k先からが魔王国領となりますのでくれぐれもご注意下さい」コザット

「了解した」

「ヒュン、ドン!」


マーシャはストレージにしまっておいた機工車を開いている場所に設置する。

アマンダもだがフォルダンもコザットもそれを見て驚いた。


「あにゃ、化け物かにゃ」

「え~」

「どうじゃ」

「すばらしい」コザット

「おー」フォルダン

「まさかここまで進化しているとは…」


2年前北の砦の事件でマーシャと学友達が使用した機工車は4輪式の6人乗りタイプだった。

乗車人数はそれほど変わらないが、新型は6輪で8人まで乗車することができる。


「中を見せていただいても?」

「かまわぬぞ」


内装も魔牛の皮を使用した贅沢な造りで、ハンドルには魔法伝達式マジカルパワーピニオン機構を採用。

それぞれのジョイント部に魔石を取り付け、壊れにくく制御しやすくなっている。


「おーこれなら運転しやすい」

「魔力の消費量がやや多いのが難点じゃがな」

「それはどのぐらい?」

「操縦に100MPを消費する、後は1k進むごとに100MPじゃ」

「それはめちゃくちゃな消費量ですね、私が扱っていた時の機工車の100倍近い…」

「操縦は姫様が?」

「そうなるな」

「マーシャ、私は?」

「姉上も、運転してみたいと?」

「これでも結構自身があるのですけど」


生前は農家の買い物で軽自動車を乗り回していたアマンダ、独身の時は一時期レーシングチームに参加していたことがある。

その時に農家の旦那と知り合ったのだが、今は機工車を運転するなどという機会など全くない。


「お姉さま、どこで運転を?」

「え、ああ 確か3年前でしたっけ…」とぼける

「MPが10万ぐらいあれば一応許可しますが?」


10万、100MPが各機能を最初に起動させるときに必要なMP、その後1k進むごとに100MP。

10万ということは約1000k進むとMP切れになることを意味する。

予定では魔王国のサザラード領まではいくつかの町を経由することになる。

その途中に現在は牢屋に収監されているジャベリン伯爵の領地であるダガラス領がある。


「一応あることはありますが…」

「移動するだけではなく車に付与されておる防御魔法と隠匿魔法も同時に使用するのじゃ」

「そんな魔法まで…」

「そうしないと魔族の町を通るのじゃ、攻撃されたらひとたまりも無いじゃろう」

「私には扱えそうもないな…」コザット

「父上」

「いやなに、そのうち旧式ならばいつか手に入るだろう」


彼は独自に機工車を作ろうとしていた、だがその開発には金がいくらかかるかわからない。

丘がいくつも連なり岩がごつごつしている領地をいかに早く移動できるか?

そんなことを考えていれば、一度魔真隊に所属したことがある者ならば、いつか機工車を手に入れたいと思っても不思議ではない。


「分かりました、私がプレゼントいたしましょう」アマンダ

「よろしいのですか?」

「いずれ義父様となるのです、そのぐらいの事は出来ましてよ、おほほ」

(あ~また売り上げが飛んでいくわ…)


まあ、アマンダの手腕であればそのぐらいのプレゼントを手に入れるのは難しいことではない。

手にいれた領地やお宝、そして運営しているお店の売り上げはマーシャと同等か、散財さえしていなければ旧式であれば機工車を手に入れることなどそれほど難しくはないだろう。


(マーシャ頼んだわよ、すぐではなくてもよいからね・ね・ね)

(お姉さま、私に振りますか?)

(これでまた借りを作ってしまったわ、とほほ)


ちなみに内緒だがマーシャは既に2台ぐらい手に入れていたりする。

魔真隊の開発部に頼まれて新型のアイデアを出すためには機工車の仕組みを知らなければ意見など出せやしない。

だが現在手に入れた車体は壊れていたりする、一度仕組みを知るために分解してしまったからだ。


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