次は牛鬼獣人
次は牛鬼獣人
本来その体は大きくそして全体的にふくよかだったはず。
発見された時には長い間の牢屋暮らしで、大きな体は細くやせ細り見る影もなかった。
「ゴールデンバイソン種とオーガとの混血か、魔法で遺伝子を操作し生み出された獣人じゃな」
「まったく魔法をなんだと思っているのでしょう」リリアナ
「コンコン、第三王女のマーシャじゃ」
「はいどうぞ」
発見された時はやせ細って、何の獣人なのか判断するのに時間がかかったが。
呪いを排除し食事を段階的に与えた結果、今はほぼ以前の姿に戻っている。
牛鬼獣人は基本的に労働力として魔王国で暮らす奴隷階級の獣人である、その大きさから戦争でも重宝されるが。
女性となると話は違ってくる、彼女の場合は奴隷階級と言っても扱われる場所が少々複雑だ。
「体の方はどうじゃ?」
「もう以前と同じくらいになりました、ありがとうございます」モリーン
「今後の事じゃが…」
「姫様にお任せいたします」
「ということは魔王国へは戻らないということでよいのか?」
「あの国にいれば死ぬまで強制的に子供を産まされて、ひどい扱いを受けるだけでしょう」
「そうかならばおぬしも妾の従者になるか?」
「はい喜んで!」
どうやらこの調子だと獣人は全員、マーシャの下僕として王国で保護することになりそうだ。
「うむではそのようにしよう、それにしてもなかなか見栄えのある体じゃな」
「姫様こそうらやましい」
「そうか?自分ではよくわからないのじゃ」
「特にお胸がちょうどよい大きさです、私のは大きすぎて…」
「おぬしはブティックのモデルとしても良いかもな」
特に胸の大きなモデルは中年層のドレスのモデルにはピッタリと言ってよい。
年齢的にもそれほど違いは無いだろう、だがそれも本人の了承を得てからになる。
それにブティックの従業員はお針子以外にも数人必要だ。
そして最後の獣人は見ただけでは何の獣人か答えが出なかった、いくつかの獣人の掛け合わせなのか、そして彼女がどうしてあの場にいたのか。
「コンコン、第三王女のマーシャじゃが、入っても良いか?」
「…キー」
「何の用?」
「今日はおぬしがどうしたいか聞きに来た」
「そう…あんた、甘すぎるって言われないかい」
「どうかな?仲間からは鬼だ悪魔だと言われておるのじゃがな」
「マーシャ様は天使です女神さまです」リリアナ
「そんで、あたしの進退を決めに来たってわけだね」
「それもあるが、ダークエルフと兎人族のハーフ、いや他にも交じっていそうじゃな」
「ああ、ハイエルフと竜人の血も入ってる、あたしは全種族の嫌われものさ」
どこかの実験場から逃げ出したかのような成り立ちだが、彼女の親はどちらもちゃんとした獣人魔族であり。
この状況は別に実験で生まれたわけではないらしい、だがどの部族も彼女を受け入れることが無いだろう。
「姫様も面白いオーラ(魔気)を持ってるね」シエラ
「オーラが分かるのか?」
「少しね、人種の違いで苦労したから悪い奴か良い奴か、判断するのにオーラは分かりやすいから」
「それでどうする?」
「面白い仕事があればやってみたいってところかな…」
「姫様の仕事は大変ですよ」リリアナ
「でもやりがいはあるんだろ?」
「それは保証するが…」
「こう見えてあたしは結構器用なんだぜ」
そういうと目の前で糸の輪を出してあやとりを始めた。
「おぬし転生者か?」
「いや、どうだろ あんまし昔のことは覚えてないんだよね」
(少しは記憶が残っておるようじゃな)
「器用ならば即採用じゃ」
「損はさせないよ」
「そうか、ということは全員従者で決定じゃな」
「やっぱりあんたはお人良しだな」
彼女は記憶を持った転生者なのだろう、魂はリサイクルされる、生きとし生けるものすべて転生してきたことに変わりはないが。
少なくとも生前の記憶の一部を持って転生してきたことに間違いはない。




