解放された獣人達
解放された獣人達
ハイエルフの姫様との話が終わるとその足ですぐに獣人達がいる部屋へと訪れた。
よくもまあこれだけ珍しい獣人達を集めたものだ、
ハイランドハーピー、通常のハーピーより小型で、より人の形に近く体毛が金色に輝く美しい種族。
もちろん空を飛ぶこともできるし魔法も使用できる、翼以外は人と殆ど変わらない。
「コンコン、第三王女のマーシャじゃ」
「はい、どうぞ」
彼女には一人一部屋を使ってもらっている、他の獣人からすると彼女は食べ物だそうだ。
獣人によっては他の獣人を食料とみなす獣人もいる、一緒にしておくと食べられてしまうのだ。
「あなたたちも?」
どうやら共生できる種族がこの部屋には集まっているようだ。
妖精族、いわゆるピクシーと呼ばれている種族はいくつか存在を確認しているが、その中でも珍しいのがブライトピクシー(光妖精)、メタリカノーム(金属妖精)、キャッスルブラウニー(城妖精)。
妖精族は人より小さく全員が状態異常魔法や粉飾魔法を使用できる、中には召喚魔法を使用できるハイピクシーも存在するが。
今回保護されたのはこの3種、人間の言葉は分からないのだが一部の動物とは意志を疎通させて共存している。
「ピーピピピー」
「この子たちが私に …」
「ああ、別に構わぬぞ、どちらにしても仲を取り持つ者がいた方が安心じゃ」
「私たち…」
「そのことじゃが、この国にいたければずっといても良いのじゃが、どうする?」
ハーピーの体にピタリと寄り添う妖精達、本来彼らを部屋にとじ込めておくというのは保護目的でなければいけないことだったりする。
妖精族もハーピー族も大自然でこそ、その力を発揮できる種族、確かに今はそんなことなど構っていられないが。
彼らにはこの先どうするのかを考えてもらわなければならない。
「やはり魔王国へは帰りたくないのだな」
「この ここではだめですか?」
「いても構わぬが、おぬしは部屋の中では暮らせぬと聞いた」
「…」
「別に無理やり追い出したりはせぬぞ、どうしたいのかを聞いておるだけじゃ」
「少し かんがえ」
「時間が必要なのじゃな、分かった、急がぬからゆっくり考えてくれ」
マーシャがそういうと首を縦に振る、今はきれいに羽繕いも終えているが見つかった時の肌は黒ずみ。
所々羽が抜けて、無残な姿だったのを記憶している。
妖精族は全員、魔法の虫かごに入れられそれぞれに魔法の首輪をされていた。
それらの魔法具を丁寧に取り去り、呪術系の魔法をすべて解除したのだ。
彼らを縛っておくことなど、死ねと言っているような物。




