ロキシーの立場(閑話)
ロキシーの立場(閑話)
大会後ロキシーは王妃からかなりきついお仕置きを受けていた、それは自分の子供であるクロイスを差し置いて勝手にマーシャとダンジョン攻略してきたこともあるが。
大会においてクロイスのペアと同等のベストエイトに入賞していることだった。
自分の息子を溺愛しているスルべリア王妃はロキシーを一時、外出禁止及び学院への登校禁止を命令した。
いくら皇族とはいえ現王妃(継母)の命令には逆らえない。
だが、ロキシーはそんな状況の中で実はホッとしていた、それは王国からの帰還後の事。
学院に復学したことで今までには無かった監視の目がより一層ひどくなってきたことだった。
そしてカマキリ女史を含め魔法学院の先生たちからも、差別のような扱いを受け始めたからだ。
アルフレア王国での2週間は彼女に大きな変化をもたらしたこともあるが、明らかに今までと違った扱いを周りの者から受けることになる。
「ロキ、大丈夫か?」
「お兄さま」
「まさか謹慎処分などとは…」
「このぐらいは想定されていたことですわ」
「だが、学院へ行かずどうする?」
「この際だからダンジョン攻略にでも行きましょう」
「え!」マリオス
「もちろんE クラスかもしくはDクラスダンジョンです」
ダンジョン攻略、学院でも一定の成績を上げた者にはダンジョンの攻略を許可している。
但し現在の攻略許可は数人でパーティを作ることが条件だ。
マリオスも魔王から命令を受けてB級のハーマルクダンジョンへと攻略に行っていたことがある。
魔王国の上級兵士を10人、お供に連れた安全をより考えた攻略だ。
だがBクラスのダンジョン攻略はそれほど簡単なものではない、攻略の進捗も19階まででストップしている。
単独ならば10階の階層ボスには勝てなかっただろう。
「学院からの許可が出ないと挑戦できないのでは?」
「もうすでに許可はいただきました」
「え!」
「心配ですか?」
「もちろん」
「うふふ」
「心配するのがおかしいか?」
「マーシャ様がおっしゃられていました、お兄さまは心配しすぎだと」
「当然だろう、もう私とロキしか亡きフロリーお母さまの親族はいないのだぞ」
「そうでしたね、悲しいことですわね、でもだからこそ私たちは強くならねばなりません」
「そうだな、もう悲しいことが起きないようにしなければならないのだ」
「その通りです」
「ならば私も同行しよう」
「よろしいのですか?またB級ダンジョンにチャレンジするのではなかったのでは?」
「実はおつきの従者とはいえ、魔将軍からおしつけられた上級兵士ではあまり上手くいかなかったのだ」
11人で挑んだB級ダンジョン、それは初めから順調ではなかった。
10階層の階層ボスは何とか倒すことができたが、20階層の階層ボスで一度全員が死にかけた。
魔王国のダンジョンは実際に死ぬことは無いが、11人の内5人まで死んで1階層に飛ばされると残りの5人でその先へ進むのは困難になる。
特にストレージ持ちがやられると回復呪文を持たない魔族たちは、ポーションを失い結果的に攻略を断念しなければならなくなる。
B級ダンジョンで19階層迄進むことはできたが、その時点で攻略は失敗に終わっていたに等しい。
「19階層の手前18階層で死に戻ってないのは私とあと2名の兵士のみ、それもディフェンスが高い部下だけが残り魔法を使用できる兵士は全員途中離脱してしまった」
「そうでしたのね」
「たくさんの兵士より気心の知れた仲間数人の方がどんなに心強いか…」
「分かりました、ではメイド部隊(魔皇族親衛隊)の数人と私そしてお兄さまで挑戦しましょう」
「良いのか?」
「はい、どのくらい強くなったのかお見せする事ができるでしょうし」
大会では少しは力を見せることができたが、それはほんの一部でしかない。
サザールダンジョンで覚えた色んな魔法や、マーシャから教わった体術など。
大会では全部を出し切る前に負けたことでロキシーは不完全燃焼のように感じていた。
さすがに王国の第2王子とブレンダ公爵嬢のペアは、大会を仕組んだ本人だけあって技量だけではなく、その勢いで負けてしまっていた感じがした。
「まだ私は伸び代があると、マーシャ様からもお墨付きをいただきました」
「それは私もだぞ、できれば父よりも強くなりたい」
「やりましょう、お兄さま!」
2人はメイド4人を連れE級のホーンテッドダンジョンへと攻略に向かうことになった。




