聖ロマール教会の勢力図
聖ロマール教会の勢力図
王国の主教である聖ロマール教会、48人の教主長と8人の枢機卿からなる組織。
たいていは一つの領に一人の教主長がいるので、王国には48区の教会があるということになる。
公爵や侯爵そして引退した王族が管理している領には必ず教会があり、その土地の領主を兼任している場合もある。
特に枢機卿のいる地区は私兵の数も多く、そうした地区は聖騎士団を運営している場合がある。
8人の枢機卿はそれぞれに500人からなる神聖騎士団を運営しているため、該当する地区の運営はかなり過酷だとも言われている。
要するにその地区は税収の取り立てが他の地区より厳しいという事。
「それでおぬしは誰に票を入れるのだ?」モーリス枢機卿
「私はロンデル教主長に票を投じるつもりだ」アッカム教主長
現在、聖教会のトップにいる教皇は御年87歳、5年周期で改選される教皇選だが。
立候補しているのは今の所5名の教主長だ。
5名ということは他の43人の票が5人の候補者の誰に一番多く入るのかがカギとなるが。
面倒なことに現在一番有力視されているのが魔族排除派のカーマイン・コロンバン・マーキュリス枢機卿が推すムスカリム教主長が一歩リードしているという話。
それぞれ立候補している教主長の主張は違うが、ほぼ2つに分かれていると言ってよい。
特にムスカリム教主長は魔族を毛嫌いしており王族とも仲が悪い。
2番手はガードリス教主長、こちらは魔族は排除したいが王族とは協力したいと考えている。
3番手がロンデル教主長で王族の意向と同じく融和政策を推進したいという考え。
4番手がミシュリック教主長で魔族との交流を推進すべきという、融和政策からさらに踏み込んだ考えを持つ。
5番手は女性のフラリスク教主長、聖教会でただ一人の女性教主長、彼女はどちらの支持もせず宗教と国は別だという考えを持つ。
5人の候補の後ろ盾には一人もしくは二人の枢機卿がいる。
現在ムスカリム教主長の後ろ盾にカーマイン枢機卿とケラミス枢機卿がいるが、それぞれ魔族に対しての考え方は違う。
カーマインは魔族を奴隷化して金儲けを考えているが。ケラミス枢機卿は単純に魔族に対して憎しみがあるようだ。
【今期の枢機卿8名】
カーマイン・コロンバン・マーキュリス枢機卿46歳 魔族の奴隷化推進
マルクス・アンドルトン 枢機卿51歳 十傑の息子 融和派
アルケミー・ゴルドア・ヒュートル 枢機卿50歳 十傑の孫 融和派
ミラ・シルバー 枢機卿38歳 聖騎士団の大隊長から昇格 魔族排除派
ケラミス・ラストリル 枢機卿65歳 聖教会の重鎮ガチガチの魔族排除派
マーガレット・シュツアート 枢機卿40歳 女性の枢機卿 賢者の曾孫 聖教支持派
ミッキー・コートマン 枢機卿55歳 教皇の親戚 融和派
シェード・エイブラハム 枢機卿48歳 元男爵からの推薦 魔族排除派
【教皇選に出馬する5人の教主長】
ムスカリム教主長67歳 魔族排除派 王国西地区
ガードリス教主長60歳 魔族敬遠派 王国東地区
ロンデル教主長62歳 魔族融和派 王国南地区
ミシュリック教主長53歳 魔族友好派 王国北地区
フラリスク教主長40歳 聖教支持派 王国南西地区
この段階で誰が誰を押しているのかまでははっきりと分かっているわけではないが。
誰が魔族排除派か誰が融和派か、ぐらいは判断がつくだろう。
「このままだとまた戦争の準備をしなければならないのか…」
「これを打開できる道筋は、やはり聖女を見つけるしかないだろう」
「噂では第三王女マーシャ殿下が聖女ではないかという話だが?」
「いいや、マーシャ殿下は聖女というより勇者ではないかという噂だ」
「大会の審査委員長、あの姿を見たものは全員がそう感じている、聖女として担ぎ上げるのは難しい」
「ならばどうするのだ?」
「学院の生徒の中に神の従者がいるという噂は真実だが、マーシャ殿下だけではないという噂も出ておる」
「それを探すのか?」
「それしか我らが推す教主長を教皇にするすべはないだろう」
彼らはミシュリック教主長を押す魔族友好派の教主達、融和派よりさらに踏み込んで国交をもっと推進するべきと考えている者達。
彼らの考えは魔王国にも王国のロマール聖教を布告させること、元々聖女崇拝は魔王国から始まっている。
但し現在は魔王国の宗教はロマール聖教とは別物になっている。
魔王国の宗教は魔王が主教を定める、現魔王が主教を決めることができるわけだ。
そしていくつかの宗教があるのだが、現魔王が主教としているのは一万年前の大地変動期に時の聖女が始めた天龍魔導教が元になっている。
今は他にもいくつかの宗教に枝分かれしているが、過去に存在した古竜達を聖女が制したということから始まった宗教だ。




