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クッション

クッション


そして椅子として利用していた板の上に敷いた厚手の布を取り、思いついた魔法をかけていく。

まずは布の増殖、元々厚手の布を2重に増殖。

これは創造魔法による増殖で出来るが材料が必要なので厚手の布を薄手にすることや、大きさを調整することで2枚の布へ換えていく。

2枚の布を裁縫スキルで袋状に、その後飼い葉用の藁を入れるのだが、その藁には軟質化の魔法をかけておく。

これにより藁はがさがさからむにゅむにゅへと質感が変わり。

柔らかくなった藁を布で作られた袋へ入れる、そのまま裁縫スキルで入り口を閉じればクッションが出来あがる。

そしてそのクッションの外側に魔法でバリアを貼り、中に圧縮空気を入れ込む。

沢山入れると爆発するので大体1.5気圧ぐらい注入する。

こうすればもし魔法が解けてもぺしゃんこにはなりにくくせいぜい藁のガサガサを感じるぐらいで済む。


マーシャの体は未だ小さいのでこの大きさのクッションがあればそれでお尻の痛みもかなり改善されるだろう。

椅子などに使われるクッションや枕などはこの世界にもあるのだが中に入れる綿の柔軟性ははっきり言うとかなり固めだ、柔らかさのかけらも無い。

それに馬車で使うにはあれだとパンパンすぎて座れない、もっと柔らかく振動に強く体をホールドしてくれる形でなければ使えない。


「出来たぞ!」

「何ですかそれ?」

「クッションじゃ!」

「??」

「お尻の下に敷く枕じゃ」

「あ~~そう言えばそんな形ですね」

「マーシャ様はお裁縫も出来るのですか?」

「勿論できるぞ」

「メイドのすることが無いです~」

「おぬしらも作ってみればよかろう」

「出来ますかね?」

「やってみぬうちに降参か?」


そういわれて5人は顔を見合わせる、そしてお尻の下に敷いた布を取るとそれぞれに先ほどのマーシャのやっていた事を思い出し。

増殖、創造、そして裁縫と、次々に工程を進めていった。


「マーシャ様、こんな感じですか?」

「どれどれ、お~上手いではないか」


さすがにメイドであるフランとクレアはすぐに袋の製作を終えて、次の藁製作に取り掛かった。

寝藁は馬の餌にもなるので量は少ないが馬車にいくらか積んである。

5人分の寝藁などたいした量ではないので問題は無いだろう。


「どうです?」

「うむ良い感じじゃな」

「じゃあ詰めてみます」

「あまり入れすぎないのがコツじゃ」


隙間には圧縮空気を満たす為入れすぎるとお尻が沈まなくなる、そのぶん座りにくくなるからだ。


「こうですか?」

「後は裁縫で入り口をふさぐのじゃ」

「出来ました」

「防御魔法と風魔法は使えるか?」

「あまり得意ではないです」

「出来なければわらわが手伝ってやるから挑戦してみよ」

「はい」


マーシャが使用した空気魔法は一応中級魔法だが、こつさえ掴めば魔力量はそれほど使用しないため。

魔法熟練度がそれほど高くなくても発現できる。


「こ こうでしょうか、エアポンプ」

「おおそれでよい、あまり入れすぎないのがコツじゃ」


バリアも上手く貼れているようで、押しても空気は漏れなかった。


「お尻に敷いてみればすぐわかるぞ」

「あ~これはいい、布だけよりぜんぜんいいです」


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