王族控室
王族控室
午前中に武術と魔術の決勝戦が行われ無事に勝者が決定した、残るはペアの部ひと試合のみ。
ダーラがリリアナを抱えて退場する。
「中々やりおる、もう少しで本気を出してしまいそうになったぞ」
「わざわざありがとうございます」衛兵
「妾は観客席に戻るとしよう」
「後はおまかせください」救護士
救護士にリリアナを任せ観客席へと戻るダーラ。
(壊れた魔法具はやはり責任を取らねばならぬのじゃろうか?)
試合とは言えいくつかの魔法具を壊してしまったダーラ、デバフの魔道具は普通の人なら使うことなどないが。
この世界では彼女の力は暴力そのものと判定される、またいくつかデバフの魔道具を装着しなければいけないのだが。
それよりもマーシャから下賜された魔道具を壊してしまったと言う事の方が心配だったようだ。
【これより1時間の休憩となります】
いつの間にか昼になり会場には食事をする者や会場を見て回る者で混雑して行く。
本日が最終日と言う事もあり、観覧席はほぼ満席だ。
「マーシャ様」
「何じゃ」
「王様がお呼びです」
マーシャの挨拶を見て、その変化に気づかない親など居やしない、しかも三女でありまだ9歳と言うかわいい娘だったはずの我が子。
かわいい女の子がたった一日で麗しい女性へと変貌しているのだから、不思議と思うより何故その姿で本日の決勝に姿を現したのか?
王様のみならず王妃も王子達も知りたい事、マーシャも出来れば試合が全て終わってからお話ししようと思っていたのだが。
特に第二王妃は直接話を聞きたい事だろう、まるで自分と瓜二つの姿になった娘の事情を。
「マーシャです王様」
扉の前には衛兵が数人、副将軍の姿も見える。
控室へと入って行くマーシャ、するとすぐに王様自ら質問が。
「単刀直入に聞く、その姿はどうしたのだ?」
王族専用の控室には、本日出場する王族の出場者だけでなく。
第一王子のカイル、第三王子のリカルド、第二王女のアリシアまで控室に詰めていた。
「皆様お集まりですね」
「マーシャが化けた」リカルド
「いつの間に?」アリシア
「これより説明しますので皆様お待ち下さい」
全員の顔からはマーシャに対する疑問と同時に、この状態を心配する雰囲気が見て取れる。
魔法でこのように姿が変化したのならば、それは呪いなのか、それともまた別の問題なのか。
「この姿はサザールダンジョンでの副産物です」
そこからは事の経緯を全て話すことにした、どうしてそこへ行くことになったのか?魔王国でも未踏破のダンジョンであり。
一番危険だと言われているダンジョン、そこにおおびき出された事による、策略した人物は既に神の裁きを受けたこと。
そして一連の事件には邪神が関わっていることなどを、その場にいる全員に話すことになった。
「まさかそのような事になるとは…」
「王様に申し上げます、今回も私事です、魔王も全く知らない事です」
「あの国もまだ安定してないのは分かるが、そうなるとまだ他に問題ごとがあると言う事か…」
「マーシャよ、手伝うことなどは無いのか」カイル
「今の所ございません、ですが何時襲ってくるかわからない敵がいると言う事になりますので、いざという時の為に己を磨き有事の際には王国の剣として恥ずかしくない対応をお願い申し上げます」
「ふむ」
「でもほんとに ローズとそっくり」オリビア
「いいえ私より綺麗になって、うれしいやら悲しいやら」ローゼリア
「マーシャが私より背が高くなるなんて、私もダンジョン攻略しようかしら」アリシア
「それは辞めておいた方がよろしいかと、五日前後でこの状態です。攻略が上手く行ったとしてもその期間が1か月を要したならば、帰ってきた時には老婆のような姿になります」
「そ それは嫌ですわ」
「今回サザールダンジョンの危険性が分かっただけでも大きな成果だと思っていただければと…」
「その通りだな、そのダンジョン攻略には禁止命令を出して置こう」
「はい」
「ご苦労であった、下がるが良い」
「はい王様」
「マーシャ、ちょっとこっちへ…」
(大会が終わったら城へ寄って)
(はいお母さま)
なんだろう、まだすべて話したわけではないが。
確かにこの姿になれば王室規範には女子や男子に分けてそれぞれ決まりごとが有ったりする。
覚えなければいけない作法や守らなければいけない各種の所作など。
面倒な事だがそれらは歳を重ねればどんどん増えて行く。




