リリアナVSダーラ戦②
リリアナVSダーラ戦②
黒炎ブレスを受けたスライムによって辺りは煙に包まれる。
時折吹く風によって煙が収まると徐々にダーラの姿が見えて来た、黒髪はそのままだが首から下はボロボロになったメイド服、所々大きく穴が開き地肌が見えている。
「おー」
「スゲー服が燃えてるぞ」
「うわー」
足は腰から半分が露に、胸を覆う布もほとんど消失してしまった。
「こ これは…」
「シュン」
急遽ストレージからドレスを取り出す。
殆ど裸のままで戦う事は出来ない、一応胸は全部出ても構わないのだが下半身は一応制限があるらしい。
「気に入っておったのに」
「そうでしたか、次はもっと燃えにくい素材にした方がよろしいかと」
魔法の威力を何倍にも下げるデバフ魔法具を付けていると言う事は、身に着ける服なども影響を受ける。
そのため自身の放った魔法でスライムだけでなく洋服迄も燃えてしまったのだ。
「リユース」
「まさかまたか」
上手く行った攻撃ならば続行するのが定石、対応策を取られるまではこの攻撃で押し通す。
リリアナはスライムを燃やされなければ次は凍らせようと考えていた、ダーラの対応は間違ってはいない。
だが次に纏ったドレスも魔法具とはいえ同じ攻撃を受けると又燃やしてしまう可能性がある。
「やりおるな」
「光栄です」
「よかろう、一つ解除しよう」
まずは魔法防御力半減の指輪を解除する、これで着衣が燃える事は防げるだろう。
「こちらからも行くぞ!」
「吹き荒れよ、黒炎」
「ホーリーアイス、タイプウォール」
「ゴー」
「ピキピキ」
「ブア!」
再度ダーラにスライム攻撃をかけるが、今度は防がれてしまった。
リリアナはすぐに作戦を変更する。
まずは氷の壁を作り敵の攻撃から身を護る、それはこちらの攻撃からも影響を受けなくできる。
「ウェザータイプハリケーン」
「ガード」
「ゴー」
リリアナは天候魔法を使い目の前にハリケーンを再現する。
雨と風、そこに泥を紛れ込ませ何かをするつもりなのだろうか。
「ギガアイス」
「ビキキ」
(ウ…)
そして氷魔法を使用してダーラの動きを封じてしまう事には成功するが。
「甘いぞ」
「バリン!」
今度は着衣まで破れる事は無かったが、頭に着けていたデバフ魔法具がいつの間にか取れてしまった。
ダーラの長い黒髪が風に揺れる。
「まさか2つまで解除されてしまうとはのう」
「まだですよ」
「本当に全部解除するつもりじゃな」
「もちろんです」
「ではこちらも反撃するとしよう」
「メガパワー」
「ズンズンズン」
ダーラが自身の重量を解除しリリアナに向かっていく。
地面を削りながら進んでくるのに、スピードはかなりの物だ。
「バキン!」
「ズズズズ」
「ドン!」
壁際まで押し込まれるリリアナ。
そのまま押し込まれるとまずいと感じたリリアナはダーラに重力攻撃を仕掛ける。
「メガフライ!」
「からのギガビティストンプ!」
「バキン!」
「ドズン」
「パラパラ…」
今度はダーラが反対側の壁に激突して壁が崩れるが、その顔には笑顔がこぼれている、まるでダメージはなさそうだ。
「コキッコキッ」
「肩慣らしにはちょうど良い、これからじゃ」
「うふ」
まさかここから2人共に肉弾戦へと移行するとは思わなかった。
勿論これは魔法の試合であり、肉弾戦だけではなく近距離での魔法の打ち合いも連続して仕掛けて行く。
「バシン」
「ドン」
「ギガショト」
「ガードリバース」
「サンドロック」
「バーストショット」
「バキン」「パシン」「ドン」「バスン」
残り時間が後5分と言う所まで迫った所で両者が一度距離を取る。
「まさかここまで」
「はあはあ、どうします?」
「分かった、あと一つ解除じゃ」
(負けるのはやはり悔しいからのう)
とうとうデバフの魔法具は後2つと言う所まで解除することに成功した。
だがそれは身体能力を下げる魔法具であり、これを解除するとスピードが瞬間移動並みに早くなる。
そこからは縦横無尽に移動しながら魔法の嵐がリリアナめがけて降りかかる。
いくら魔法で防御しようとも、限界を超えた魔法攻撃により防御壁がなくなると、その後は一方的な状況へと追いやられて行く。
そして戦いの最中にもう一つのデバフ魔道具にひびが入り粉々に砕ける、だがダーラは攻撃の手を緩めない。
「ガン」「ドガン」「ドスン」
「あ う グッ!」
【勝者ダーラ】
「わー」
「あと あと…つだったのに…」
「中々良い作戦だったぞ」
残りのMPだけでなくHPまで10%を切ってしまい強烈な貧血状態に陥るリリアナ。
膝から崩れ落ちて行くリリアナ、彼女はその場で気を失ってしまったようだ。
デバフの魔法具はあと一つだった、肉弾戦の中でデバフ魔法具がもう一つ壊れたらしい、これで合計4つの魔法具が解除されたことになる。
実はデバフ魔法具は失敗作が多く脆い所もある、2つは自分から外し2つは戦闘中に壊れてしまったと言う結果になった。




