取り調べは進む
取り調べは進む
グラッダに組した手下達、そのほとんどはホルン魔男爵の手の者。
彼らは男爵から呼ばれてグラッダを手伝うように命令されただけ、裁判では彼らを強制労働1年間と言う裁定が下るだろう。
「グラッダの手下はこれで終わりじゃな」
「はい、あとはジャベリン魔伯爵の手下の裁定ですね」
此方の取り調べは慎重にしないと何が起こるかわからない。
今の所彼らに死者は出ていないが、一人でも死んでしまうとそれを盾に魔王へ王国進軍のきっかけを与えてしまうだろう。
そう言う事が積み重なれば全面的な戦争となり、どちらも退くに引けない状況になってしまう。
「ジャベリン伯爵」
「なんだ」
「今回の作戦はおぬしの考えたものだな」
「ああ、嘘偽りはない」
「おぬしの上司はロディトルサザラード魔将軍だったな」
「…」
「そうか、妾も直接会ってみるつもりじゃ、今回の事件も問うてみるが、何か伝えたい事は無いのか」
「無い」
この先の事はいま語れることではない、全ては大会の後マーシャが魔王国へ行って何を聞き何をしてくるかがカギになる。
「また魔王国へ?」
「そうなるな」
「主様、私共はいつでもご命令に従います」
「その時が来たならば存分に動いてもらうが、今はまだその時ではないと思うぞ」
騎士隊の牢屋から出るとすでに日は沈みそこかしこに魔法のランタンが灯り出す。
「そうじゃ、忘れておった」
学院の女子寮にある食堂へと向かうマーシャ、途中からフロウラ達はメイド館へと別れる。
ダーラは付いて来ようとするのだが、一応明日の試合の事もあり女子寮前で別れた。
「あ 来ましたよ」
「待たせて済まぬ」
「そうですよ、アマンダ様とブレンダ様、それにリンダ様まで食堂でお待ちです」フラン
何の話だろう、いや明日の話かそれともここまでの出来事を聞きたいのか。
ブレンダ嬢からは多分文句を言われるのだろう、負けが見えていた勝負とはいえ悔しがらぬ者などはいない。
第一王子の妻と言う座は勝ち取ったが、まさかリカルドに負けてしまうとは思わなかっただろう。
それにリカルドとペアを組んだのは魔王国の第二皇女ロキシー、第五回戦の第一試合でアマンダに負けはしたが、リカルドがもう少し持ちこたえたならばまた違った結末もあり得た。




