アマンダ・フォルダンペアVSマリオス・チャッピーペア
アマンダ・フォルダンペアVSマリオス・チャッピーペア
アマンダとフォルダンのペアは既に優勝候補としての実力は十分にあると言える。
マーシャが作成したバトルドレスと貸し出した杖の性能は第2王妃の纏った魔法具とほぼ同等だろうと思われる。
だがフォルダンの身に着けた魔法具はそれほど高性能とは言えない物だ。
彼の性格なのか、魔法具に頼って戦う事を良しとしない性格。
だがアマンダはマーシャから一つだけ魔法具を借りてフォルダンに渡していた。
「他は貴方の思った通りでも構わない、でもこの魔法具だけはお願いだから絶対に身に着けて」
「そこまで言うなら、分かったそうしよう」
「有難う、チュッ」
それは腕に着ける籠手だった、大剣を使用するフォルダンはその身にあまり防具を装着していない。
それは大剣を自在に振るう為、全体の重さを少なくするためでもある。
彼は手持ちの魔法具から4つほど持ってきている、一つは大剣デュラシス2つ目は守りの腕輪。
3つ目は女神の首飾り、こちらはアマンダがプレゼントした物、そして4つ目が起死回生の指輪。
そこに防具としてマーシャが貸し出した雷神の籠手が加わった。
アマンダはその籠手にマーシャに頼んで魔法を付与してもらっていた、籠手に組み込まれた魔石は2つ。
その2つの魔石に合わせて4つの魔法が元々込められているが、マーシャに頼んでさらに一つ魔法を込めてもらった、それは瞬間移動の魔法。
だがその魔法を何故雷神の籠手に付与したのだろう、その理由はこの後分かることになる。
【それではペアの部4回戦第一試合を行います】
「いよいよか」
「まさかあなたと戦うことになるなんてね」アマンダ
「私はいつかこうなると予想していましたよ」チャッピー
【それでは指定の位置におさがり下さい】
「ワー」
【始め!】
2組の行動はどちらも様子見から始まった、まずは魔法職が幾つもの防御魔法を組み上げて行く。
「プロテクション、シェル、スピードアップ、ガードアップ」
「行くぞ!」
「バシュン」
前衛の男2名が大きな音を立てて中央迄一気に飛び出し、双方の剣が大きな音を立ててぶつかった。
「ギャイン」
その力はほぼ拮抗している様に見える。
だが元々の力はやはり魔族でありマリオスの方が上の様だ、次第に後ろへとフォルダンは押し込まれて行く。
「まだだ」
「シャイン」
フォルダンがその体を半身ずらすだけでマリオスの剣が横にずらされて行く。
だがそこからすぐに切り返しの攻撃が始まる、今度は双方が剣で剣を叩くように上下左右に数えきれないほどの剣劇を浴びせ出す。
だが双方ともに全て剣で受け切ってしまう。
「フン」
「ガガガガガ…」
「なかなかやる」
「そっちもな」
「ギャイン」
「パワーアップランクエクストラ」
「ブワワ」
アマンダから追加のバフがフォルダンへと掛けられる、負けじとチャッピーからもバフが飛んでくる。
「フィジカルアップダブル」
「シュン」
前衛同士の戦いは力が拮抗しているのか消耗戦の様になって行く、そして頃合いを見て後衛の魔法職が遠距離の攻撃へと突入する。
「フォルダン行くわよ」
「来い!」
「バーストアロー、グラビティプレス」
「こっちも行くわよ!」
「うぬ」
「アシッドレイン、アースクエイク」
中央の舞台が波打ちそして酸の雨が降り注ぐ、そして爆裂の矢が次々に音を立てて敵の体へとダメージを与えて行く。
足元を崩されたフォルダンが片膝を付くがそこにバーストアローがマリオスめがけて飛んでいく。
マリオスは追撃しようとするがバーストアローで邪魔されることに。
「バスバスバス」
「トリプルガード」
「クッ」
「まだだ」
「バシュン」
マリオスの剣から風魔法が放たれる。
「させるか!」
「バシン」
「エアカッター」
「ホーリーアロー」
「バババババ」
「ドンッ!」
「どうだ!」
「ギャイン」
アマンダの魔法で戦端が中央よりややマリオスとチャッピー側へ押し込まれる。
いくつかの魔法攻撃で舞台の中央には土埃が立ち会場がかすんでいる。
好機とばかりにフォルダンが追撃を仕掛ける、大剣を脇に抱えフォルダンがマリオスめがけてジャンプする。
とっさに剣で合わせようとするマリオス、そこに魔法を叩き込むチャッピー。
「エクスプロージョン!」
「バギャン!」
爆発によって双方の前衛が後方へ吹き飛ぶ。
「ズザザザー」
「ワー」
全く退かない2組だったが、双方の顔色を窺うとわずかに差が出てきていた。
「行くわよ」
「フラッシュ!サンダーレイン」
「キャッ」
「目が…」
「バリバリバリ」
「グ…」
「魔力が…」
前衛は両者共にかなりくたびれてきていたが、後衛である魔法職の顔色にはかなりの差が付いてきた。
どうやらMPの保有量は第一王女であるアマンダの方が上なのかも知れない。
そしてアマンダはチャッピーの顔色を見て最後の賭けに出るようだ。
「何?」
「耐えられるかしら」
「ファンブル」
「嘘でしょ!」
「大いなる天空の神よ我が魔力に力を!」
「レインボーアロー、フリーズ、フラッシュバースト、ストーンバレット…」
フォルダンとの位置を転移魔法で自分と入れ替える、それこそが雷神の籠手をフォルダンに渡した理由だった。
距離が近くなった事で魔法の威力が2倍近くまで増すこと、そして味方を巻き込む可能性を排除する事。
味方の前衛職と入れ替わる事で高威力の攻撃魔法を敵陣めがけて解き放つことが可能になるのだ。
その数は優に20種、100発を超える。
「バシュバシュバシュ」
「ズズズズ」「ドシュンバシュン」「ガガガガゴゴゴ」
「ドンドンドン」
「ペキキキ」「ズシャズズシャ」
「ドガン!」
一つ二つの魔法ならば防御魔法や結界魔法で防ぐこと自体そう難しくはない。
だが五大属性魔法や聖魔法を百発以上次々に受けたならどうなるだろう、ガード魔法はあっという間に打ち破られて生身の体へと直接攻撃魔法が降り注ぐことになる。
しかもアマンダの持つ魔法具やバトルドレスはマーシャ謹製の特注品。
本来持っている能力を10倍近くまで押し上げている。
「サー」
土埃が風で流れて行く、後に残ったのはチャッピーをかばって膝を付いたマリオスの姿。
勿論チャッピーもあの猛攻を受けて無事でいられるわけが無かった。
【勝者フォルダン・アマンダペア!】
「わー」
チャッピーは猛攻を受けて気を失い、マリオスが最後の力を振り絞り分厚いバリアを張ることで何とか致命傷だけは防ぐことができたが。
さすがに腕も足も傷だらけになってしまい、試合続行は不可能と言う判定が下ったようだ。




